1970年代末からニューヨークを拠点に活動する saxophone 奏者 Tim Berne。 JMT や 自身のレーベル Screwgun などから多くの録音をリリースしてきたが、 David Torn: Prezens (ECM, 2007) [レビュー] 以来、 Michael Formanek のグループのメンバーとしても ECM に録音を残すようになっている。 2010年代に入って、自身のグループ Snakeoil を率いてのリーダー作もリリースし始めている。
2011年にリリースした1作目 Snakeoil は、 Tim Berne にしては大人しい、ある意味で ECM らしい仕上がり。 bass 抜きという編成はいかにも Berne らしいが、 Marc Ducret (Big Satan, Science Friction) や Craig Taborn (Hard Cell, Science Friction) が使うような electric な楽器は用いず、 アコースティックな音作り。 “Scanners” や “Not Sure” のような細かくギクシャク飛び回るような曲など楽しんだが、 全体としては大人しく、少々物足りなかった。
去年リリースされた2作目 Shadow Man はうって変わって、 Tim Berne らしいパワフルな吹きっぷりも楽しめるようになっている、 Ches Smith の drums もドコドコ荒っぽい音で鳴るようになり、 それに Berne と Noriega の2管と Mitchell の piano も煽られるよう。 Bloodcount ほどではないものの、ECM らしからぬ勢いのある演奏が楽しめた。 vibes や Tack や Wurlitzer の electric piano を使っている所も、目立つ程ではないが、音色のアクセントになっている。 新しい展開を感じさせる程ではさすがににないが、 Snakeoil を聴いたとき、 ECM と契約してついに落ち着いてきてしまったかと少々残念に思ったが、 Shadow Man を聴くと、 まだまだパワフルにやってくれそうだ。