1990s以降の jazz/imprv の文脈で活動するノルウェーの piano / keyboard 奏者 Christian Wallumrød の 自身のアンサンブルを率いての来日。 彼の参加する Dans Les Arbes のライブは観たことがあったが [レビュー]、 このアンサンブルでのライブを観るのは初めて。
楽器の出す弱い音 (物音としての音を含む) を使って空間に疎らに淡い点や線を描いていくような演奏。 そんな中からメロディを浮かび上がっては消えていくのだが、そんなメロディも長く途切れ途切れに引き伸ばされたり、 他の持続音にぼやかされたり。くっきりとした輪郭を描くようなことはない。 そんな演奏を聴いていて、 LIXIL現代美術ギャラリーやオペラシティアートギャラリー project N がよく取り上げる 淡く抽象化された風景画を観ているよう。 今までCDで聴いてきて、ここまでイメージを想起させられたことが無かったので、意外だった。
観ている間は、Giovanna Pessi の Baroque harp もフィーチャーし古楽色も濃かった昔より抽象化したと感じ、 Pessi もいる編成で観たかった、などと思っていた。 しかし、帰途にふと聴いた The Zoo Is Far (ECM, 2007) で、 それほど変わっていなかったことに気付かされた。
観て強く感動するようなコンサートではないが、 イメージ喚起力があり、 観た後にCDを聴き直すとその細部の聴こえ方が変わってくる、 はっきり聴こえるようになるわけではないが耳が反応するようになる、 そんなコンサートだった。