NYを拠点に活動するインド系アメリカ人 piano 奏者 Vijay Iyer [レビュー] が、自身の piano trio を率いて来日した。 いままでCDで聴いてきたような、 強い音ながらドシャメシャにはならずにむしろ複雑なリズムを刻むような piano を、 楽しむことができた。 しかし、piano trio という保守的な編成のせいか、 かっちりしてライブならではの意外さのようなものが無かったせいか、 微妙な物足りなさを感じてしまったのも確か。
そんな中で耳を捉えたのは、Iyer の piano より、Marcus Gilmore の drums。 CDで聴いていたときは Tayshawn Sorey に比べて若干印象が薄かったのだけれど、 目の前で叩いているのを見ていて、なかなか良いな、と。 ブラシで4ビート的なスイングを感じされるリズムを刻むときもあったりするのだが、 snare の rim click のカツカツ刻む音を多用して uptempo な breakbeats を思わせる細かい複合拍子を刻む時が、特に気持ちよかった。 さすが、Steve Coleman & Five Elements でも叩いていたことがあるだけはあるな、と。
Steve Lehman や Vijay Iyer のこのようなIDM以降を感じさせる複雑なリズム感を持つNYのjazzは好きなだけに、 観終わった後も不完全燃焼気味で、管入りで少々変則的な編成 (Fieldwork のような) が観たいと思ってしまった。 そんなライブだった。