CD/DL聴取メモ。スロヴァキアの女性歌手のアルバムを2タイトル。

1996年のミス・スロヴァキアで、それ以来メジャー Universal からアルバムをリリースしてきた スロヴァキアの女性歌手 Jana Kirschner による、 彼女が2013年から取り組んでいるプロジェクト Moruša 『桑』のアルバム2タイトル。 いずれも、プロデュースは、前作 Krajina Rovina (Universal, 2010) に続いて、彼女自身と 夫でもあるイギリスの producer (Freakpower, Moloko, etc) の Eddie Stevens で、 イギリスとスロヴァキアのミュージシャンを集めて制作されている。 リリースは、Universal ではなく、 Longital [Dlhé Diely] や Zuzana Homolová のリリースをしている ブラチスラヴァ (Blatislava, SK) のインディレーベル Slnko [関連発言] から。

2013年にリリースされた Biela 『白』は比較的アコースティックに、 続く Čierna　『黒』は対照的に electronica 的な要素も多めな音作り。 全曲自作曲で、コーラスを生かした muzak 風の pop が耳を捉えるが、clarinet や cimbalom も入っており、 スロヴァキア語の歌詞の語感もあって、中欧の folk の雰囲気も感じさせる。 個々の音が整理され、そのテクスチャが強調されるような音処理もあり、post-rock 以降ならではの 音作りだ。 時にハイトーンで優しく、時に抑えた低い声で強く、と、Kirschner の歌声にも雰囲気がある。 シングルカットされた “Muzika!” [YouTube] など、 1990年代半ばの Stereolab のよう。 そんな、中欧 folk の雰囲気も漂う avant な pop が楽しめた。