ボスニアのサラエボ (Sarajevo, BA) 出身の女性歌手 Amira Medunijanin の新作は、 前作 Amulette (World Village, 450018, 2011, CD) [レビュー] に続き Bojan Zulfikarpašić と Nenad Vasilić というjazz/improv 文脈で活動する2人に、 oud や kanun を加えた編成によるもの。 特に kanun の響きの存在感は大きく、jazz vocal 的なものと sevdah (folk song) 的なものの関係が逆転したよう。 オープニングの “Eleno Kerko” のようなメロディアスに優しく歌うような明るい曲など、 kanun を加えたような編成に合っている。 もちろん、piano と bass のみの伴奏の明るい “Čula Jesam Da Se Dragi Ženi” やしっとりした“Ima Dana” も良いし、 guitar 一本伴奏の “Što Te Nema” などイベリア半島の folk にも近く感じられて耳を捉えた。 しかし、Amira & Bojan Z の2010年のベオグラードでのライブ映像 [レビュー] のような、 このようなテンション高めなアウトな演奏とのかけあいは、やはりこのアルバムには収録されていない。 こういう演奏とのアルバムも聴いてみたいと思っているのだが。