Princesses du Chant Arabe - Oum Kalsoum, Fairous & Asmahan (Accords Croisés, AC144, CD, 2012) [レビュー] でアラブ歌謡の女性歌手3人を取りあげたチュニジアの女性歌手 Dorsaf Hamdani の新作は、 1950年代に活動を始めた2人の女性歌手、フランスの Barbara とレバノンの Fairouz を取りあげたもの。 Fairouz は前も取りあげられていたが、アラブ歌謡ではなくシャンソンの Barbara と合わせて どうなることかと思いきや、accordéon と guitare/oud を中心としたミニマルなバックと Hamdani の落ち着いた歌声で見事にまとめあげた作品だった。
出だしのメリスマ効かせた短い詠唱から、guitar のアルペジオに導かれるように 柔和な歌声ですっと歌い出す “La Solitude” でぐっと掴まれる。 arbara の歌ったフランス語シャンソン曲の歌い方も、渋いというより優しく落ち着いた歌声が魅力的で、むしろこちらに惹かれた。 Fairouz の歌ったアラブ歌謡も、簡素な guitar と accordéon の伴奏で、メリスマも控えめに落ち着いた歌声で歌われると、 アラビア語が判らないせいか、イベリア半島かどこか folk のよう。 Barbara の歌と Fairouz の歌が交互に歌われるのだけど、そんな歌声ろアレンジもあって統一感があった。
quanoun や ney が伴奏に無いせいか、アラブ歌謡色は薄め。 oud が入るとやはりアラブ風に聴こえるのだが、Fairous の曲より、 Barbara の “Ce Martin-là” や “Le Soleil Noir” のアレンジでハマっていた。 それも面白かった。