伝統的な folk だけではなく live electronics も駆使したコンテンポラリーな文脈でも活動するノルウェーの女性歌手 Unni Løvlid。 その彼女が参加した現代的な folk のトリオに Rusk があるのだが、 その Rusk のメンバーでもある fele [fiddle] 奏者 Vegard Vårdal と、 accordion に Frode Haltli に代わって Ulf-Arne Johannessen となったトリオでの来日した。 ノルウェー・ハリンダル (Hallingdal, NO) 地方の伝統的な民族舞踊ハリングダンス (Hallingdans) のワークショップも交えて folk 色濃い企画が多い中、 最後の公園通りクラシックスは実験的な演奏を中心にすると予告されていた。 Unni Løvlid は以前にそのようなライブを観ているので [レビュー]、 むしろ folk 的な方を観てみたいと思いつつ、日程的にこの日しか合わなかった。 しかし、結局のところ、良い方に予想が外れ、少々残響深めの時はあれど live electronics はほぼ使わず、 かなり folk 色濃い演奏が楽しめた。
狭いハコということもあってか、観客にも歌わせたりと folk らしく雰囲気も和やかなライブだった。 チューニングが狂いやすい hardingfele [harding fiddle] には チューニングが長くなりがちでその間のジョークが不可欠、などと Vårdal はジョークを交えつつ、 ときには客席まで飛び込んでの演奏を見せた。 座っての accordion 演奏ではその片鱗は見せ難かったけれども、 ダンサーでもある Johannessen の演奏も明るくノリ良い雰囲気。 Løvlid の effect を通さない歌声と言えば、後半のオープニングでの牛飼いが放牧地で牛を呼ぶために使う呼び声も印象に残った。 この呼び声の後、残り二人が牛の真似しながら出て来たのも可笑しかったが。
Johannesen はハリングダンスのダンサーとしても有名ということだったが、 公園通りクラシックスの狭い区間では無理だろうと期待していなかった。 しかし、最後にはダンスも見せてくれた。 まずはスプリンガル (springar) という男女ペアでのダンスを、控えていた民族衣装を着たノルウェー人らしき女性と。 こちらは女性のチョコチョコ歩くステップやくるくる回る動きも可愛らしいもの。 続いては、Johannesen のソロでる力強くアクロバティックなハリングダンス。 頭の上の高さにある棒にかけた帽子を蹴り飛ばすというのもお約束のよう。 観客からも自然と手拍子が上がり、盛り上がった。 Johannesen はこのような伝統的なダンスだけでなく、 ハリングダンスをバックグラウンドに持つコンテンポラリー・ダンスのカンパニー Frikar のメンバーとしても活動しているという。 Frikar も観る機会があればと思う。
途中の休憩時間を含めても2時間足らずという短さで、少々物足りなく感じたけれども、 こういう folk 的なライブも良いものだなあ、と楽しんだ。