2013年 [レビュー] 以来、久々の来日となる Iain Ballamy と Thomas Strønen による jazz/improv のグループ Food。 3年前に観た時と同じ会場ほぼ同じゲスト陣ということで、 同様の雰囲気を期待していたのだが、以前に聴かれた繊細なテクスチャとは違う音に感じられたライブだった。
前半は、背景に映像を投影しつつ、Food の2人に、途中から 巻上 の theremin を加えての演奏。 曲をはっきり特定できなかったが、 This Is Not A Miracle (ECM, ECM2417, 2015, CD) からの曲を演奏していたように思う。 Strønen は以前に多用していたフィンガーシンバルのような金属パーカッションの類を用いず、 標準的なドラムセットのタムやスネア、バスドラムの音使っていた。 リムショットやブラシを多用したソフトな音で looper も駆使していたが、以前のような軽いチャカポコした音から染み出してくるようなグルーヴ感は無かった。 もう一方の Ballamy は Lyricon を用いず tenor saxophone のみ。 しかし、吹きまくるというほどではなく、前回よりテクスチャを強調した演奏だった。 巻上 の浮遊するような theremin もテクスチャに厚みを加えていた。
背景に投影された映像は、Feral Music 時代の Food のアルバムのジャケットデザインも手がけていた Dave McKean によるもの。 明確なストーリーはなく、北ヨーロッパの荒涼とした風景をモノクロで捉えたものに渦やクラゲを合成して僅かな異化を加えたものや、クシクラゲを大写しにしたものなど。 音楽も合わせて、捉えどころのないような半ば抽象的なイメージを作り出していた。
後半は映像なし。 まずは、O'Rourke と 石橋のデュオから入り、Food の2人を加えて、最後に、 巻上も入っての演奏になった。 Food が加わって暫くまでは、音をコントロールしきれてないグダグダな即興演奏の感もあった。 最後は Food の曲を演奏したということもあるか、前半の音世界に戻ったようにも感じた。
開演時は台風接近し強い雨という天気で、観客が10名程度しかいませんでした。 少々コンディションの良くないライブだったかな、と。 終演した頃には、台風も急速に衰え温帯低気圧になり、雨も小降りになってました。