TFJ's Sidewalk Cafe > Cahiers des Disuqes >
Review: Karl Seglem Acoustic Quartet (live) @ Pit Inn, Shinjuku, Tokyo
2016/11/20
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Karl Seglem Acoustic Quartet
新宿 Pit Inn
2016/11/19, 20:00-22:15
Karl Seglem Acoustic Quartet: Karl Seglem (tenor saxophone, goat horn, voice), Andreas Ulvo (piano), Sigurd Hole (bass), Jonas Howden Sjøvaag (drums)
opening act: 鈴木 生子 (bass clarinet), 原 洋子 (voice).

Karl Seglem はノルウェーの saxophone / goat horn [山羊の角笛] 奏者。 1991年にレーベル NORCD を設立し、 Terje Isungset [レビュー] との Isglem や Utla など、 ノルウェーの folk と jazz/improv を抽象化したような音楽性で活動してきた。 そんな Seglem が、ノルウェーの piano trio Eple Trio を従えた形となる Acoustic Quartet で初来日した。 この晩は、約30分のオープニングアクトの後、 アンコール1回を含めて途中休憩なしの約1時間半、 3枚のアルバムからだけでなく新曲も含めて演奏をした。

ノルウェーの folk のメロディを使いつつ、 編成からもかわるとおり jazz のイデオムの強い演奏をする quartet で、 Seglem が saxophone で folk 的なメロディをはっきり吹くときなど保守的な印象。 しかし、角笛に持ち替えたときなど、雰囲気は一転。 角笛や saxophone のテクスチャ成分の多めの音に対して、 drums と内部奏法も駆使した piano とが細かく post-techno/electronica なリズムを繰り出してくる。 そんな、2面を行き来するようなライブだった。 やはり、角笛を吹いている抽象的な folk の展開のときの方が良かったので、Terje Isungset との Isglem や、 Håkon Høgemo の hardingfele が参加した Utla などの編成を是非観てみたいとも思った。