1980年代にデトロイトの techno シーンで活動を始めたDJ/producer の Jeff Mills は 2000年代半ばから主にヨーロッパでオーケストラとの共演、作曲を始めています。 そんな Jeff Mills がオーケストラと共演したコンサートを観てきました。 日本では去年に続いて2度目ですが、去年は見逃しています。
Jeff Mills の曲以外の演奏した曲も20世紀の曲のみでしたが、 現代音楽のコンサート (例えば『コンポージアム』[レビュー]) とはかなり異なるもの。 Jeff Mills の曲にしても、minimal music などの影響も受けた映画音楽のコンサートのよう。 そんな中では、100台のメトロノームを使う Poème Symphonique for 100 metronomes にしても、 曲の並びから必然を感じるというより、奇を衒った一発芸のように聞こえてしまったのは残念。 このコンサートのメインともいえる太陽系をモチーフにした約1時間の Planets は、 太陽側から順に惑星をモチーフとしたフレーズが浮かび上がるような展開でしたが、 妥協して最後にクライマックス様の展開を持ってこず、アンチクライマックスで終えていました。
classical music に馴染みのない観客向けのコンサートという位置付けだったのか、1曲ごとにMCが入りました。 しかし、解説というほどの内容はなく、ほとんど「凄いですよ」「感動しましたね」のような内容に終始するもの。 かなり興醒めしてしまいました。 2000年代に入ると techno や post-rock の文脈のミュージシャンと classic の文脈とクロスオーバーが進み、 “post-classical” と呼ばれるジャンルを形成しつつあります。 Jeff Mills とオーケストラの共演もその文脈の上にあるもので、それを生で聴くいい機会と思って、 足を運んだということもあります。 しかし、この企画は、post-classical の一つの形を紹介するようなものではなく、 classical への客寄せとして Jeff Mills を使ってるよう。 そういう客層、ニーズもあるのかもしれないですが、自分の興味とはすれ違ってしまいました。