テノーレ節 (Cantu a tenore) との共演など folk 寄りの jazz/improv の文脈で活動するサルディーニャ出身の multi reeds 奏者 Enzo Favata のソロでの来日コンサート。 ほとんど効果音のような電子音を伴奏に、リバーブ深めの音でルーパーで音を重ねつつ、様々な楽器を持ち替えて演奏。 開演には間に合わず、会場に着いたのは19時過ぎだったが、 concertina から、benas (launeddas に似た音色の2管の管楽器)、、bass clarinet、soprano saxophoneと演奏し、 アンコールでは Sun Ra の曲を bass clarinet で取り上げた。
サルディーニャの伝統的な楽器である benas を演奏に間に合って、聴くことができて良かった。 倍音成分の多いつん裂くような響きで、それもサーキュラー・ブリージングも使って吹き続けていたのは聴き応えあった。 bass clarinet や saxophone を使った曲でも、jazz のイディオムは強くなく、folk 的というほど泥臭くもなく、 空間に音を配置するようにパーカッシブに鳴る電子音や深いリバーブもあって、明るい地中海の風景を想起させるというより、幻想的にすら感じられる演奏が楽しめた。
知名度からしてソロでも来日ライブが観れただけでもありがたいと思う。 Riccardo Tesi が参加した Islà (Robi Droli / New Tonw, 1nt 6737 2, 1995, CD)、 Tesi に代わり Dino Saluzzi が参加した Ajò (Felmay, fy 7001 2, 1997, CD) や、 accordion が Daniele di Bonaventura [レビュー] となり launeddas 奏者の Luigi Lai やテノーレ節も参加したサルディーニャ色濃い Voyage En Sardaigne (Felmay, fy 7013, 1997, CD) など、1990年代の Jana Project での一連の作品が Favata を知ったきっかけだっただけに、 electronics を使ってのソロではなく、 accordion を含むバンド編成や、テノーレ節との共演でのライブを聴きたかった。 ソロでも良かっただけに、その点が物足りなく感じたライブだった。