Hubro からリリースのある ノルウェーの jazz/improv に近い文脈で活動する2つのグループのライヴを観てききた。 ちなみに、2グループ共通のメンバー、drums の Øyvind Hegg-Lunde は、 去年、Susanne Abbeuhl のバックで来日している [レビュー]。 途中、セット交換の休憩を挟んで、前半 Erlend Apneseth Trio、後半 Building Instrument、それぞれアンコール込みで約1時間。 folk 的だったり pop 的な面を持ちつつも、Hubro らしい、というか、 ノルウェーの jazz/improv の文脈ならではの、 electronics も駆使した疎な音空間と音のテクスチャを生かした演奏を楽しむことができた。
まずは、Erlend Apneseth Trio をアンコール前を除いて中断無く。 folk の文脈で使われる伝統的な楽器 Hardingfele [Hardanger fiddle] を使うが、 固定ながらマイクを通して深いリヴァーヴをかけ、時には2台持ちでのピチカートしたりする演奏。 対する acoustic guitar も live electronics で音を弄り、 Terje Isungset [レビュー] に師事したという drums も細やかな音出し。 はっきりとしたメロディやリズムを聴かせるというよりテクスチャを作るような音出しだったが、 Hardingfele を弓弾する時、共鳴弦によるさわりのような音がフッとフォーク的な雰囲気と作り出す所も良かった。
後半は Building Instrument では、drums は前半よりもリズムを刻んだが細かく繊細に、synthizer の音はアトモスフェリックに、 Mari Kvien Brunvoll のほとんどテクスチャになった歌声が掻き消されることなく堪能できた。 ほとんど椅子に腰かけたまま、マイクや機材を操作しながら、時に zither を控えめに爪弾きつつ。 通常のマイクからの live electronics によるリヴァーヴやループの音弄りだけでなく、 コンタクトマイクを口に当てて歌うことにより、くぐもった質感の歌声を使ったり。 ほとんど抽象化された歌声ながらもチャーミングさが残っていて、dream pop のようにも聴こえることがあった。 Brunvoll の歌声はCDで聴いてとても気に入っていたが、 生で歌う仕草を見ているとますますチャーミングで、引き込まれたライヴだった。