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Review: New Zion Trio with Cyro Baptista (live) @ WWW, Shibuya, Tokyo
2017/08/27
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
渋谷 WWW
2017/08/25, 19:00-20:15.
New Zion Trio: Jamie Saft (Fender Rhodes, piano), Brad Jones (electric bass), Ben Perowsky (drums); with Cyro Baptista (percussion).

かつては Knitting Factory Works 界隈、最近は Tzadik レーベル界隈から多くリリースしている ニューヨークの jazz/improv の文脈で活動するミュージシャンたちによる jazz meets reggae のグループ New Zion Trio が Sunshine Seas (RareNoise, RNR065, 2016, CD) [レビュー] と同じく Cyro Bapstista を加えた編成で来日した。

自由席だが丸椅子が用意された第1セットと立席の第2セットの2公演で、 CDで聴いていた限りでは繊細な展開も多く着席して聴く音楽だろうと予想して、第1セットにした。 しかし、PAの音圧は jazz 的なものではなく、reggae のダンスフロア仕様。 Tzadik から小難しい音楽を多くリリースしている人たちなので、淡々と演奏するのかと思いきや、 Cyro Baptista など客煽りもして、ノリのいい演奏。 その低音も気持ち良かったが、これであれば立席で踊りながら聴いた方が楽しかったかも、とも。

Jamie Saft は piano はほとんど弾かずに Fander Rhodes や電子オルガン (機種確認し忘れた) がメイン。 Bapstita は pandeiro, cuica や berimbau などブラジルの打楽器を駆使してその色を添えていた。 Brad Jones と Ben Perowsky のリズムは、CDよりも遥かにヘビーでシャープ。 アンコールでは Stevie Wonder の曲をやったのだが、reggae のリズムにはせずに、むしろ1970年代の fusion 風。 全体として、初期 Return To Forever あたりの1970年代の良質な fusion が、 1980年代前半の Roots Radics (Dub Syndicate) か Sly & Robbie の early dancehall のダブワイズな演奏が出会ったよう。 斬新というより懐かしい音だけれども、意外とありそうで無かった組み合わせの音で、 ノリのいい演奏も気持ち良く楽しめたライブだった。