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Review: Ikarus (live) @ Airegin, Yokohama
2018/04/22
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
横濱エアジン
2018/04/15, 19:30-20:45.
Ikarus: Ramón Oliveras (drums, composition), Anna Hirsch (voice), Andreas Lareida (voice), Lucca Fries (piano), Mo Meyer (doublebass).

Nik Bärtsch のプロデュースで Ronin Rhythm Records から2枚のアルバムをリリースしているスイスのグループ Ikarus。 去年にも1度来日しているが年度末繁忙期のために観られず、今回の来日で観ることができた。 アンコールこみで1時間ほどのライブだった。 ちなみに、2枚のアルバム制作と昨年度来日のメンバーから女性歌手が替わっている。

アルバムで聴いていた時はさほど drums が際立たず、むしろ piano の音が耳に残り、 スキャットをフィーチャーした Nik Bärtsch's Ronin [鑑賞メモ] という印象だった。 ライブでみると (ライブだからか) リズムが力強く多様に感じられ、 淡々としたミニマルな音楽というより、ドラマチックな展開を感じた。 ドラマーがリーダーのグループというのも、納得だ。

男女二人のヴォイスも、classical な歌い方ではなく、 動きながら表情豊かに歌う様子も jazz のスキャットに近いもの。 アンコールで倍音も使ったりしたが、特殊な発声法を多用、強調するようなことは無かった。 リズミカルなスキャットというより、ソフトにディレイを真似るように歌うような時も多く、 Theo Bleckmann をフィーチャーした John Hollenbeck のビッグバンドを、小回り効くように小編成にしたよう、と感じる時もあった。

フロントのボイスの男女は、色は黒ながら立体的に造形されたデザインの服を着ていたのだが、 そんな衣装も似合う美男美女。特に男性は表情もMCの口調もフレンドリー。 そんな雰囲気も楽しむことができた。 演奏の種類によってはこぢんまりとした親密な空間という良さがあるが、 狭くて雑然としているとも言えるエアジンのような空間よりも、 コンテンポラリーダンスの公演とかもできそうなホールや Super Deluxe のようなオルタナティブスペースの方が似合いそうなグループだとも思ってしまった。