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Review: Ensenble Nomade, PUNKT, Michiyo Yagi, etc in “Born Creative” Festival 2019 (live) @ Tokyo Metropolitan Theater
2019/10/14
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)

藤倉 大 をアーティスティック・ディレクターとして 2017年に始まった現代音楽とその周辺の「新しい音」のフェスティバル 『ボンクリ・フェス』 (“Born Creative” Festival)。 子連れでも楽しめる企画が多いというのが特徴でしょうか。 3回目の今年は PUNKTや 八木 美知代 が参加するということで、初回に続いて足を運んでみました。

少し早め昼前に行って 本條 秀慈郎 (三味線) や 東野 珠実 (笙) のアトリウム・コンサートを聴いたあと、このコンサートを聴きました。

『ボンクリ・フェス2019スペシャル・コンサート』
“Born Creative” Festival 2019 Special Concert
東京芸術劇場 コンサートホール
2019/09/28, 14:00-16:00.
1)Morton Feldman: Something Wild in the City: Mary Ann's Theme, for horn celesta and string quartet. Ensemble Nomade.
2)挾間 美帆 『颯(はやて)』 [Miho Hazama: Hayate]. Ensemble Nomade.
3)八木 美知依 『通り過ぎた道』 [Michiyo Yagi: The Road Not Taken]. 八木 美知依 [Michiyo Yagi] (箏 [koto]).
4)PUNKT live remix of “The Road Not Taken” by Jan Bang (electronics), Erik Honoré (electronics), Eivind Aarset (guitar, electronics), Nils Petter Molvær (trumpet, electronics), 藤倉 大 [Dai Fujikura] (electronics).
5)Terry Riley: In C. Ensemble Nomade, Nomade Kids, 八木 美知依 [Michiyo Yagi] (箏 [koto]), 本條 秀慈郎 [Hidejiro Honjo] (三味線 [shamisen]).
6)坂本 龍一 [Ryuichi Sakamoto]: honj I - III. 本條 秀慈郎 [Hidejiro Honjo] (三味線 [shamisen]).
7)大友 良英 [Yoshihide Otomo] 『振動と回転』. 大友 良英, 川越 聡子(東京芸術劇場副オルガニスト) (pipe organ).
8)藤倉 大 『春と修羅』(映画『蜂蜜と遠雷』より) [Dai Fujikura: Spring and Asura]. 萩原 麻未 [Asami HHagiwara] (piano).
9)藤倉 大 『ホルン協奏曲第2番』 [Dai Fujikura: Horn Concerto No. 2]. 福川 伸陽 [Nobuaki Fukukawa] (horn), Ensemble Nomade.

現代音楽というかモダン・コンポジションを中心に選曲されていますが、 Nomade Ensemble に子供のアンサンブルを加えての In C など 微笑ましい演奏もある、緩めのコンサートでした。 特殊奏法を含む horn とアンサンプルがかけあう藤倉 大 『ホルン協奏曲第2番』など、 いかにも現代音楽らしい曲の方が楽しめたように思いますが。 一番の目当ては、八木 美知依 と PUNKT live remix でしたが、 Super Deluxe、公園通りクラシックス、新宿Pit Innなどなどて聴いてきた 八木 美知依 『通り過ぎた道』も、 こういうコンサートホールでソロで聴くとぐっと凛とした印象を受けます。 PUNKT live remix はアンビエントな音空間に『通り過ぎた道』の淡い断片が散りばめられたようでした。

事前申込が必要と気づいておらず「〇〇の部屋」と題したプログラムは観れなかったのですが、 PUNKTだけは立見で入ることができました。

『PUNKTの部屋』
PUNKT's Room
東京芸術劇場 ギャラリー1
2019/09/28, 17:40-18:25.
Jan Bang (electronics), Erik Honoré (electronics), Eivind Aarset (guitar, electronics), Nils Petter Molvær (trumpet, electronics).

PUNKTの2人 (Jan Bang, Erik Honoré) にゲスト相当の2人 (Eivind Aarset, Nils Petter Molvær) を加えての1時間弱ノンストップのライブでした。 Aarset や Molvær の出す楽器音だけでなく、お互いが電子的に加工した音に、次々と加工を重ねていくような即興演奏なのですが、 アンビエントな出だしから、重いビートが入る展開なると Norwegian National Ballet の Ibsen 原作のバレエ [鑑賞メモ] に付けた Molvær や Bang の音楽を思わせました。 そこから、八木 美知依 『通り過ぎた道』 の断片や男性ヴォーカル (おそらく David Sylvian のもの) の断片など、 他の音源も用いて微かに散りばめる展開へ。 後半、Molvær の緩くフラットなフレーズをベースに Brian Eno: Discrete Music を思わせる展開となって、 これは明らかに意識してのものだったのではないかと。

1時間弱の短いライブでしたが、良かっただけに、もっとちゃんとした会場でフェスティバルの一部ではなく PUNKT をメインとしたライブを観たいものです。 というか、やはり、Norwegian National Ballet の Ibsen 原作バレエを生伴奏でみたいものです。