藤倉 大 をアーティスティック・ディレクターとして 2017年に始まった現代音楽とその周辺の「新しい音」のフェスティバル 『ボンクリ・フェス』 (“Born Creative” Festival)。 子連れでも楽しめる企画が多いというのが特徴でしょうか。 3回目の今年は PUNKTや 八木 美知代 が参加するということで、初回に続いて足を運んでみました。
少し早め昼前に行って 本條 秀慈郎 (三味線) や 東野 珠実 (笙) のアトリウム・コンサートを聴いたあと、このコンサートを聴きました。
現代音楽というかモダン・コンポジションを中心に選曲されていますが、 Nomade Ensemble に子供のアンサンブルを加えての In C など 微笑ましい演奏もある、緩めのコンサートでした。 特殊奏法を含む horn とアンサンプルがかけあう藤倉 大 『ホルン協奏曲第2番』など、 いかにも現代音楽らしい曲の方が楽しめたように思いますが。 一番の目当ては、八木 美知依 と PUNKT live remix でしたが、 Super Deluxe、公園通りクラシックス、新宿Pit Innなどなどて聴いてきた 八木 美知依 『通り過ぎた道』も、 こういうコンサートホールでソロで聴くとぐっと凛とした印象を受けます。 PUNKT live remix はアンビエントな音空間に『通り過ぎた道』の淡い断片が散りばめられたようでした。
事前申込が必要と気づいておらず「〇〇の部屋」と題したプログラムは観れなかったのですが、 PUNKTだけは立見で入ることができました。
PUNKTの2人 (Jan Bang, Erik Honoré) にゲスト相当の2人 (Eivind Aarset, Nils Petter Molvær) を加えての1時間弱ノンストップのライブでした。 Aarset や Molvær の出す楽器音だけでなく、お互いが電子的に加工した音に、次々と加工を重ねていくような即興演奏なのですが、 アンビエントな出だしから、重いビートが入る展開なると Norwegian National Ballet の Ibsen 原作のバレエ [鑑賞メモ] に付けた Molvær や Bang の音楽を思わせました。 そこから、八木 美知依 『通り過ぎた道』 の断片や男性ヴォーカル (おそらく David Sylvian のもの) の断片など、 他の音源も用いて微かに散りばめる展開へ。 後半、Molvær の緩くフラットなフレーズをベースに Brian Eno: Discrete Music を思わせる展開となって、 これは明らかに意識してのものだったのではないかと。
1時間弱の短いライブでしたが、良かっただけに、もっとちゃんとした会場でフェスティバルの一部ではなく PUNKT をメインとしたライブを観たいものです。 というか、やはり、Norwegian National Ballet の Ibsen 原作バレエを生伴奏でみたいものです。