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Review: Miwazow Kogure, Wataru Okuma, Tanehiko Sekijima: Brecht-Tokyo-2022 (live) @ Li-Po, Shibuya, Tokyo
2022/10/30
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
Brecht-Tokyo-2022
渋谷 Li-Po
2022/10/22, 19:00-21:00.
こぐれみわぞう [Miwazow Kogure] (vo, perc), 大熊 ワタル (cl, pf), 関島 種彦 (violin, viola, mandolin).

新型コロナウイルス感染症も第7波から第8波の間の小康状態のうちに こぢんまりしたハコでのライブを楽しみたい、ということで、 今年5月に初演した Bertolt Brecht の歌を歌うプロジェクト Brecht-Tokyo-2022 のライブを観てきました。 今回の編成は Cicala-Mvta の2人 (こぐれみわぞう, 大熊 ワタル) に Jinta-la-Mvta 等での共演も多い 関島 種彦 を加えた3人で。

1回休憩を挟んでアンコールを1回を含む約2時間。 Bertold Brecht が歌詞を付けた Kurt Weill, Hanns Eisler, Paul Dessau 作曲の歌を、 一部、ドイツ語でのオリジナルの歌詞を交えることもありましたが、基本的に日本語訳された歌詞で歌います。 曲の紹介すらタイトル程度にMCほどんとなく進めたのは Brecht の歌詞を大切にしたいとのこと。 ここでの「歌詞」はドイツ語での響きというより、歌詞の意味を重視したというところでしょうか。 Brecht 歌集というとロック文脈になりますが Dagmar Krause の Supply & Demand (Hannibal, 1986) は愛聴盤ですし、 他にも現代音楽文脈の Salome Kammer [鑑賞メモ] や jazz 文脈での様々なカヴァーで親しんできていますが、 ドイツ語もしくは英訳で聴くことがほとんどで、日本語で聴くのは意外と無かった体験でした。 歌手もコミカルな演技を交えるようなこともなく、演奏も improv 的な要素が多めでしたが、シリアスになり過ぎないような外し方でした。 楽器としては、clarinet と mandolin の組み合わせの時が好みで、ふっと地中海音楽風味が入るような、そんな新鮮味を感じました。

約1年前、大熊 ワタル が倒れて救急搬送されたという話がSNSで流れているのを目にしました。 その後、比較的早く快復してライブ活動も再開しているということは情報としては目にしていましたが、 実際にこうして演奏する様子を間近で観ることができ、良かったです。