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Review: 『リアルのためのフィクション』 @ 東京国立近代美術館ギャラリー4
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2007/04/28
東京国立近代美術館ギャラリー4
2007/3/10-2007/5/27 (月休; 3/26,4/2,4/30開), 10:00-17:00 (金10:00-20:00)
イケムラレイコ, Sophie Calle, やなぎみわ, 塩田 千夏

2階のギャラリー4を使って行われている小企画展は、今回は女性作家特集。 やなぎみわ と Sophie Calle の作品は観たことがあったこともあり、 なんとなく1990年代っぽいという印象を受けました。 1990年代後半の一連のジェンダー/セクシャリティとテーマとした展覧会とか、 ちょっと思い出したり。 といっても、こういう展覧会はそれなりに好きだったりします。

やなぎみわ は1990年代半の案内嬢シリーズ (関連レビュー) の作品が展示されていました。 彼女の作品は、やっぱりこのシリーズが一番好きです。

Sophie CalleAutobiography シリーズと Paul Auster ネタの B, C, W シリーズ (関連レビュー)。 改めて観ると B, C, W がイマイチ。 ここ最近5年近く、自分が小説というかフィクションを ほとんど全く読まなくなったことと関係あるかもしれないなぁと思いました。 といっても、それとは別に、Calle の作品にはそこはかとなく苦手感が……。

塩田 千春 は泥の風呂に入る様子を捉えたビデオ作品 Bathroom (1999)。 これを観て、横浜トリエンナーレ2002での巨大な泥まみれの服のインスタレーションと、 2002年の個展で観たシンクのインスタレーション (関連レビュー) が繋がって、なるほど、と。 しかし、こういうインスタレーションでの情念の痕跡というか 情念に対する距離感を思い出すに、 このビデオは観なかった方が良かったかも、と思ってしまいました。

そんな作品の中では、イケムラレイコの作品が、 一番リラックスして観られたようにも思います。 陶の作品はそれほどピンときませんでしたが、 くたっと前にコケたかのような『横たわる少女』 (1997) での 黒い画面に一筋の光明のように光る黄色のラインが気に入りました。

[sources]