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Review: andcompany&Co.: Mausoleum Buffo @ 神奈川芸術劇場 中スタジオ (演劇)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2011/02/28
Mausoleum Buffo
アンドカンパニー&Co. 『道化の霊廟』
神奈川芸術劇場 中スタジオ
2011/02/26. 15:00-16:30.
Von und Mit: Alexander Karschnia, Vettka Kirillova, Thomas Myrmel, Lisa Lucassen, Sascha Sulimma. &Co.
Uraufführung: 2009.

ベルリンの劇団 andcompany&Co. による、 主にロシア革命やソ連・東欧など共産主義的なものをネタにした舞台作品。 little red (play): 'herstory' (2006) TIME REPUBLIC (2007) に続く、 20世紀を振り返る三部作の三作目にあたるものという。 Владимир Маяковский (Vladimir Mayakovsky) 作 Всеволод Мейерхольд (Vsevolod Meyerhold) 演出で有名な Russian Avant-Garde の演劇 Мистерия-Буфф (Misteriya-Buff, 1918) とレーニン廟 (Lenin's Mausoleum) を掛け合わせたタイトルから メイエルホリドの作品をベースにした作品かと予想していたのだが、 実際は、数多ある引用ソースの1つに過ぎなかったようだ。 そんな引用からなる少々フェイクな感のある音楽劇だった。

舞台装置は、残っている Театр им. Мейерхольда (Meyerhold Theatre) の写真に観られるような高さのあるものではなく、 むしろ、“ОКТЯБРЬ” 「十月」と書かれた旗飾りも 1920年代の十月革命記念式典の街の装飾を連想させられる少々チープなもの。 Биомеханика (Biomekhanika) のような型のある動きを使ってもいなかった。 薄い青いツナギの衣装は1920年代半ばのアジプロ演劇集団 Синяя блуза (Blue Blouse) を意識したものだろうが、そのような身体表現でも無かった。 舞台奥にはデコンはハコ状のものがあったのだが、 アフターパフォーマンス・トークで指摘されるまで レーニンの墓を意識したもの判らなかった (実際のレーニン廟を連想させる形ではない)。

このような感じで、十月革命やロシア・ロシアアヴァンギャルドに始まり、旧ソ連・東欧に関するもの、また、 20世紀半ばの西欧の左翼的なカウンターカルチャーを思わせるものなど、 さまざま散りばめられた舞台だったが、かなりフェイクな印象を受けるものだった。 そのフェイクな感じはあえて狙っている所もあると感じたけれども、 インターネットを通して取材したり自身の体験に基づくドキュメンタリー的な要素も、 そんなフェイクな舞台の雰囲気にインパクトが薄まってしまったようにも感じられた。 そこが、全体として強く印象に残る所が無かった一因かもしれない。

ちなみに、この公演は 『世界の小劇場 〜vol.1 ドイツ編〜』 の一つで、 また、TPAM (国際舞台芸術ミーティング) の連携企画でもある。 この一環として、She She Pop: Testament [レビュー] と Rimini Protokoll: Black Tie [レビュー] の公演も行われた。