倉敷の大原美術館は、1930年に開館した近現代美術を中心にコレクションする私立美術館。 その21世紀 に入ってからの現代美術のコレクションを紹介する展覧会です。 ヤノベケンジ の『Sun Sister』 (2014) のような巨大な人形を含む一連の作品はあれど、それらの作品が異質。 ほとんどが絵画というか、平面作品という内容でした。 さすが平面作品を対象とした VOCA (Vision Of Contemporary Art) 展で賞をを出しているだけはあります。 しかし、先日観た、 『現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展—ヤゲオ財団コレクションより』 (東京都現代美術館, 2014) [レビュー] の印象もあって、21世紀初頭というのは絵画の時代だったのかもしれないなあ、と。 それもコレクターとマーケットでの流行という意味で。
異質な ヤノベケンジ が目立っていたとは思いますが、それが良いカウンターになって、むしろ平面作品の良さに気付かされました。 最も気に入ったのは、VOCA展での大原美術館賞受賞作、 ハンガーにかかった服と棚に並んだ靴がずらっと並んだ様が粗いタッチでまるで抽象画のようになった 佐藤 翠 『Reflections of a closet』 (2012)。 ARKO (Artist in Residence Kurashiki, Ohara) で制作された作品の展示室では、 緑というか木を描いたものが並んでいたのだけど、 写実的ながら色相を黄緑に絞ってモノトーンに描いた 北城 貴子 『Waiting Light – muison-so —』 (2006) [関連レビュー]、 葉々を緑の幕のように描いた 押江千衣子 『こだま』 (2009)、 松の木なのに黒い点染みのように描いた 浅見貴子 『松の木』 (2010) と、 抽象化というか異化のさせかたの違いが面白かった。