土曜は午後まで阿佐ヶ谷に残って。ラピュタ阿佐ヶ谷では 『松竹大船撮影所——庶民の笑いと日常と』 という特集上映もやっています。 戦後の作品が中心ですが、戦前のものも数本かかります。 ということで、この映画を観てきました。
あらすじ:世話焼きな 徳さん こと 近藤 徳二郎 とおしゃべりな おきよ の夫婦は、 かつてお世話になった中島さんの未亡人とその子 春夫 と、身内同然の付き合いをしている。 ある日、出張土産の饅頭を春夫に与えたが、それに当たって、春夫は重病になってしまう。 夫妻は責任を感じ病院へやったりと、親身に面倒を見て、春夫は一命を取り留める。
子供が病気に倒れ、親や周囲の者が自分を犠牲にしてなんとかしようとする、という人情物。 子供が病気に倒れる所など、小津 安二郎 の「喜八もの」の『出來ごころ』 (1933) や『東京の宿』 (1935) [レビュー] も連想させられるわけですが。 貧困という問題が無く重苦しくない話になっているというのも、時代の違いでしょうか。 むしろ、同年の 大庭 秀雄 『むすめ』 (1943) [レビュー] と共通する雰囲気。 河村 黎吉、飯田 蝶子、坂本 武 らのやりとりの息の合い方も抜群。 戦前松竹映画のお約束だらけの映画ですが、よく出来ているし、役者はハマってるし、それはそれで楽しいものです。
桑野 通子 の役は、子供が一人いる上品な和装の未亡人の裁縫の先生。 重病の子の母という主要な役で出番は多かったですが、 やっぱり気の強いモダンな女性の役の方が良いなあ、なんて思ったり。 けど、長女 (桑野 みゆき) 出産後復帰第一作ということで、イメージを変えつつあったのかもしれません。
しかし、戦前松竹映画は、つい女優目当てで観てしまいます。うーむ。