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Review: Royal Ballet: Alice's Adventures in Wonderland @ Royal Opera House (バレエ / event cinema)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2014/12/20
『不思議の国のアリス』
Live from the Royal Opera House, 2014-12-17, 19:00-22:20 BST.
Choreography: Christopher Wheeldon; Music: Joby Talbot; Designs: Bob Crowley.
Performers: Sarah Lamb (Alice), Federico Bonelli (Jack/The Knave of Hearts), Alexander Campbell (Lewis Carroll/The White Rabbit), Zenaida Yanowsky (Mother/The Queen of Hearts), Christopher Saunders (Father/The King of Hearts), Steven McRae (Magician/The Mad Hatter), Eric Underwood (Rajah/The Caterpillar), Philip Mosley (The Duchess), Paul Kay (Vicar/The March Hare), James Wilkie (Verger/The Dormouse), etc
David Briskin (conductor), Orchestra of the Royal Opera House, Covent Garden.
上映: バルト9, 2014-12-17 19:00-22:20 JST.

4月に live screening で観た Royal Ballet の The Winter's Tale が 思いのほか楽しめたので [レビュー]、 この振付/音楽/美術チームが『不思議の国のアリス』 (Lewis Carroll: Alice's Adventures in Wonderland, 1865) を2011年にバレエ化したものを、live screening で観てきました。

兎の穴に落ちる導入部や、キノコを食べて大きくなったり小さくなったりする場面など、 巧妙な舞台美術やプロジェクションマッピング的な映像投影を駆使して舞台化している所などさすが。 奇妙な登場人物たちを表す舞台衣装も凝っていました。 ダンサーの動きも良いし、物語もテンポ良く展開し、3時間飽きることなく、 世界トップクラスのバレエ団によるめくるめく舞台を堪能しました。 といっても、群舞の場面が少なめだったのは物足りませんでした。 その一方で、主人公 Alice が第一幕から第三幕までほぼ出ずっぱりで踊りっぱなしで、 観ていて心配になるほどでした。

Alice は少女といっても10代半ばの思春期の女性と設定が変えられ、 最後のトランプの王国での裁判の場面で被告になる Jack of hearts (ハートのジャック) との恋物語になっていました。 それも、オープニングは19世紀の Oxford で、最後に目が覚めると現在の Oxford という。 これも、やはりパ・ド・ドぅ (男女ペア) の見せ場を作るためでしょうか。 ブルネットのショートボブも素直で快活な女の子という感じで、 Alice のイメージも原作とは大きく違いました。 演じる Sarah Lamb が表情豊かで可愛らしかったせいか、この設定はこれで良いかなと思ってしまいました。 The Winter's Tale では Partita を演じていた Lamb ですが、 ここまで可愛らしいという印象はありませんでした。

この舞台は The Winter's Tale とはダンサーも大きく被っていて、 Alice を導く The White Rabbit も元々は Edward Watson だったのですが、怪我で代役。 代役も悪く無かったですが、Leontis の奇妙な動きを楽しんだだけに、彼の The White Rabbit が見られず、少々残念。 そして、 The Queen of Hearts 役の Zenaida Yanowsky (The Winter's Tale では Paulina)。 第二幕までは時折通過するだけでしたが、それだけでも存在感抜群。そして第三幕では大活躍。 第三幕冒頭の『眠れる森の美女』 (Спящая красавица [La Belle au bois dormant], 1890) の “Rose Adagio” へのオマージュ (というかパロディ) という “tart adajio” の場面など、この作品最大の見せ場でした。 ますます Zenaida Yanowsky のファンになってしまいましたよ。

どちらかといえば The Winter's Tale の方が好みで、 そちらを先に観て良かったとも思いましたが、 「家族で楽しめるクリスマス公演」という事も考慮に入れれば、とてもよくできた舞台だと感心。

今年は、The Winter's Tale [レビュー] と Balanchine/Millepied [レビュー] に続いて バレエを screening で見るのは3回目。 昨年の Royal Ballet 来日時の Alice's Adventures in Wonderland はスルーしましたが、 映画2本分程度の料金で、それも、前売りも買わずに当日にふらりと観に行かれるという、この気楽さは魅力です。 今回は第三幕の Sarah Lamb & Federico Bonelli のパ・ド・ドゥで中継ストリーム途切れというトラブルもありましたが、 これもライブならではということで、しかたないでしょうか。 これからもしばしば足を運んでしまいそうです。って、やっぱり生でもみたいという気にもだんだんなってきたりして、いけません。うむ。