土曜は仕事していたのですが、19時には終えることができたので、ふと思い立って六本木へ。 『六本木アートナイト2015』 を覗いてきました。 事前にチェックしておらず、どこで何をやっているのかわからないので、 取り敢えず乃木坂から新国立美術館へ。このパフォーマンスを観てきました。
幾つかのスケッチが、緩く繋げられたかのような、30分余りでした。 黒い帽子を被ってのパフォーマンスは、かつての 水と油 を連想させるもの。 その一方、女性の足の動きに合わせて赤い靴を動かす所や、 一人のパフォーマー手足に太い紐をつけて3人で引っ張ってテンションのある動きを作りだす所など、 去年の『赤い靴』 [レビュー] のよう。 新たに作り込んだというより、今までの作品で使ったアイデアの変奏を繋いだようなパフォーマンス。 イベント内のイレギュラーな空間でのパフォーマンスですし、これもありだとは思います。 むしろ、『赤い靴』では人形を使っていた紐のパフォーマンスが、ここでは実際の人を使って、 そこは良くなったように感じました。
パフォーマンス後、入手したパンフレットをチェックするもこれといって食指が動かず。 そういえば、と思い出して、これをやることにしました。
スマートフォンとロケーションベースAR技術を使っての陣取りゲーム Ingress が、 六本木アートナイト2015に合わせて特別なポータルとミッションを用意したイベントです。 スマートフォンとロケーションベースAR技術を使ったものといえば、 六本木アートナイト2012でも Musicity Tokyo というロケーションベースのAR音楽配信をやっていました [レビュー]。 その違いに興味があったのですが、実際にやってみると、かなり大きな違いを感じました。
確かに、Ingress のミッションをやっていなかったら、 さくら坂公園の 中崎 透 『Sign for public art』など見逃していたと思います。 しかし、その一方で、Ingress のポータルになっていた個々の作品の印象が薄くなってしまったのも、否めません。
Ingress はゲームで、音楽配信に比べ没入しやすいものです。 ましてや、六本木のような繁華街では多くのエージェントによる激しい敵ポータルの破壊し合いという消耗戦が普段から繰り広げられていて、 ボロボロのレゾネータしか刺さっていないポータルがリンクも張られずに並ぶ光景は、市街戦で瓦礫の山となった都市のよう。 これがイベントによってさらに激しさを増しているのです。 仮想空間の中で戦う点が、のんびり作品鑑賞するということと、相反していたように感じました。 正直に言って、ゲーム内とはいえ熾烈な「市街戦」を戦いながら作品鑑賞もするのは無理があります。 単に期間限定ポータルをハックして回るだけにすればよいのかもしれないですが、それでは単なるスタプラリーです。 (そう思ったので、敢えて戦いながら回ってみました。) Musicity Tokyo はゲーム性が無かった所が良かったのかもしれない、と、 Ingress Roppongi Art Night Special をやりながら、つくづく思いました。
六本木から帰る終バスに間に合う時間ギリギリで無事ミッションを完了することができましたが、 Rhizomatiks による Ingress 戦況可視化を観る余裕はありませんでした。 徹夜する気力体力が無かったので、大人しく終バスで帰途についたのでした。
Ingress 自体は好きなゲームで、それなりにやっています。 しかし、比較的動きのゆっくりした地元の住宅街で作戦を考えながらポータル巡るのは面白いけど、 繁華街での消耗戦はポイント稼ぎにはいいけど殺伐として面白くないとも、以前から薄々感じていました。 そして、Ingress Roppongi Art Night Special は後者のダメな部分を痛感させるような所がありました。 Ingress を使った街興しのようなイベントをうまく機能させるのは難しいのかもしれません。
六本木アートナイトに行ったのも、2012年以来の3年ぶりでしょうか。 徹夜がキツい歳というのもありますが、お祭り騒ぎ過ぎて作品を観る環境と考えると劣悪い感じられて、足が遠のいてしまいました。 もしかしたら雰囲気も変わっているかもしれない、と少し期待しましたが、そんなことはありませんでした。