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Review: George Miller: Mad Max: Fury Road 『マッドマックス 怒りのデスロード』 (映画)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2015/08/09 (2015/08/12 追記)
2015 / Warner Bros. Pictures / Village Roadshow Pictures (Australia) / 120min / DCP / 2D / color.
A Kennedy Miller Mitchell Production / A George Miller Film.

1979年から1985年にかけて製作された Mad Max シリーズ3作から30年ぶりに公開された第4作。 荒廃した近未来の暴力が支配するディストピアを描いたSF映画です。 先日、『神々のたそがれ』 [鑑賞メモ] を観て、 この暴力的なディストピアを説明を排して感覚に訴えるように描くところに共通点があるようで、 『マッドマックス 怒りのデスロード』をちゃんと観ておきたくなり、映画館へ足を運んでみました。

実際のところ、かなり近い世界を描いていて、アクション映画としてアッパーに描いた『神々のたそがれ』のようにも感じました。 しかし、徹底的にグロテクスに描いた『神々のたそがれ』と違い、 鉄馬の女たちの登場や Nux と Capable の関係など希望やロマンチシズムを感じさせる要素も折混ぜてあり、 圧倒的なアクションも含めて緩急付けてバランスも良いもの。 もっと殺伐とした映画だと予想していただけに、巧く作られたエンターテインメイト映画と感心。 ただ、暴力的なアクションの場面が続く映画は普段見慣れていないので、観ている間に緊張し過ぎて、見終えたときはぐったりでした。

ところで、Warboys たちは、sway-pole (しなるように揺れるポール) の上に乗って、 その反動を使って thunderstick (刺突爆雷のような兵器) を投げつけたり、 敵の車に接近して攻撃したり飛び乗ったりします。 そして、その sway-pole 使いはオーストラリアのパンパニー Strange Fruit [関連レビュー] を連想させます。 実際、Strange Fruit の Custom Productions のリストには “Mad Max Hollywood Premiere, US - 2015” があり、 映画製作においても何らかの協力をしていたのではないかとうかがわれます。 Mad Max: Fury Road は台詞をほとんど使わないアクロバティックな身体表現の映画で、 こういうサーカス・アクロバット的な身体表現を上手く援用していると感心します。 そういう所もこの映画の見どころです。 “Mad Max Hollywood Premiere, US - 2015” で Strange Fruit でやったショーを、是非観てみたいものです。

話題立川シネマシティの極上爆音上映で観たのですが、 耳障りで耳が遠くなったりするようなことはなく、むしろ体感するかのような低音が気持ち良いもの。 ほぼ中央の席を取ることができたせいか、迫力ある良い音が堪能できました。

Mad Max: Fury Road については、既に多くの人が様々に語っていて、 このサイトで書いておきたいことはあまり無かったりします。ちなみに、最も面白く読んだブログの感想は、 「水耕栽培農家の視点から見る「マッドマックス 怒りのデス・ロード」」 (『ITとゲームとメタル』2015-08-03) でしょうか。