5月3日は、静岡芸術劇場で Ubu and the Truth Commission を観た後、静岡市街地というか駿府城公園方面へ急いで移動。
ふじのくに⇄せかい演劇祭 2016 関連企画として開催された、演劇寄りの大道芸イベント。 大道芸の文脈で活動している演劇・ダンスの色の強いパフォーマーと、 演劇・ダンスの文脈で活動しているカンパニーが入り混じっての、野外でのパフォーマンスを繰り広げていました。
まずは、15時から静岡市役所の御幸通り側玄関前で
FUKAIPRODUCE羽衣。
ミュージカル劇団ですが劇場公演は未見。
主宰の 深井 順子 ら劇団メンバー3人と静岡のゲスト5名の、
男女8名が劇中歌の『果物夜曲』と『サロメvsヨカナーン』を歌い踊りました。
庶民の人生を描いた皮肉と脱力感の「妙〜ジカル」。
レベルまではわかりませんが女優陣はバレエとか習ったことありそうで動けて踊れていたのに対して、
男優陣の身のこなしがダメだったのが、妙に印象に残りました。
このレベルの違いは、バレエのような習い事の男女間での根付き方の違いによる所もあるかな、と思ったり。
16時からは駿府城公園外堀の二の丸橋前歩道周辺で
スイッチ総研。
光瀬 指絵 (ニッポンの河川), 大石 将弘 (ままごと, ナイロン100℃) , 山本 雅幸 (青年団)
らによるハプニングのカンパニー。
街中に置いたオブジェに観客が触ることをトリガーに、1分弱のパフォーマンスをするというもの。
こちらも観るのは初めて。
基本的に、テンション高い口調で強引に観客を掴むようなパフォーマンスでした。
16時半から東御門・櫓ステージで、
バーバラ村田。
大道芸フェスでは一人で男女のダンスを踊る作品 (タイトル失念)
[写真]
のことが多いような気がしますが、
今回は静かな動きの『かたわれ〜Doppelgänger〜』。
仮面を使ったマイムですが、ずらして被った仮面で表情仕種を作るところが面白かった。
『ストレンジシード』はここまで。 この後、駿府城公園内の「フェスティバルgarden」でのプレトークの後、 この野外公園を観ました。
パリにあるフランス国立のアフリカ、アジア、オセアニア、アメリカの芸術と文明の博物館
Musée du quai Branly [ケ・ブランリー美術館] の開館10執念記念として 宮城 聰 へ委嘱された作品。
付設の劇場が Le Théâtre Claude Levi-Strauss ということで、
Levi-Strauss の日本に関する著作集
『月の裏側』 (L'Autre Face de la Lune, 2011)
にあるという、日本の創世神話である『古事記』中と「因幡の白兎」のエピソードと、
北アフリカの先住民族 Navajo 族に伝わる神話の類似性の話に着想した作品でした。
三部構成で第一部が『古事記』、第二部がナバホ族の神話、第三部がこれらの神話の原型を想像したものでした。
ムーバーとトーカーに
着想してイメージを広げる、というより、プロットを説明するような演出に、
『マハーバーラタ 〜ナラ王の冒険〜』 [鑑賞メモ]
の祝祭性を強引にくっつけたよう。
委嘱元の劇場空間に合わせたのだと思いますが、
スクエアな舞台の後方に楽団を並べてその前で芝居をするため、
空間の奥行きがあまり使えていなかったのも残念な限り。
舞台後方の木々ライトアップして静岡県舞台芸術公園 野外劇場「有度」に近い雰囲気を作ろうとしていましたが、
「有度」が舞台だったら空間使いももっと面白くなったかもしれません。
ク・ナウカ以来のトーカーとムーヴァーを分けての演出や、
打楽器アンサンブルの祝祭的な生演奏など、
宮城 聰 らしさをそれなりに楽しみましたが。
結局3日に観た Ubu and the Truth Commission のプログラム中にはとても良かったという作品はありませんでしたが、 『ストレンジシード』もあってか、一日通して振り返ると大道芸フェスを丸一日緩く楽しむのに近い楽しさはありました。