Mary Wigman に師事し、Pina Bausch 芸術監督時代の Folkwang Tanzstudio のダンサーだったこともあるという Susanne Linke による、 戦前の Neue Tanz の時代から戦後自死した1967年まで活動を続けた Dore Hoyer に捧げた作品。 Neue Tanz、表現主義のダンスは本だけでなく動画等で目にすることはありましたが [関連レビュー]、 それからコンテンポラリーダンスへの流れなどちゃんと追えているわけではないので、 再演とはいえ生の舞台を観られるということで、足を運んでみました。
休憩を挟んで前半は Afectos Humanos はソロ。 幾つかの「激情」をダンスで表現した小品を繋げたもので、 舞台上手脇に衣装をかけたハンガーラックを置き、 合間に舞台上でダンサーが着替えつつ、1967年当時の映像を上映していました。 生の演技は映像に比較的忠実に見え、「激情」というには淡々としたダンス。 表現されているはずの感情を受け取るというより、 あの 村山 知義 の写真となっているダンス [レビュー] も こんな感じだったのだろうか、などと思いつつ観ていました。
後半は男女デュオ2つで、前半とうって変わってコンテンポラリーダンスらしい作品。 Affekte は スーツ姿の男性にスリップドレス姿の女性の絡みにセクシーさもあって、最も楽しめました。 Pina Bausch にも似た印象も受ました。 また、舞台中央奥に衣装をかけたハンガーラックを置き、時々着替えつつ。 これも Linke が好んだ演出なのでしょうか。
Effekte は棒や畳大の半透明なプラスチック板、 大きいものでは一辺2m近くある様々なサイズのジュラルミンケース (一部はキャスター付き) を動かしながらのパフォーマンス。 ジュラルミンケースから取り出したリンゴでジャグリングする場面もまさにありましたが、 オブジェクトマニピュレーションで構成した作品。 こういうのは好きで、初演された1991年であればとても楽しめたのではないかと思うのですが、 現在はコンテンポラリーサーカスの文脈でもっとアイデア富んだことやられてるので、逆に微妙に感じられてしまいました。