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Review: I Kadek Budi Setiawan (aka Kadek Capung): Eclipse @ 東京芸術劇場シアターウエスト (演劇); Corpus: Transhumance @ 東京芸術劇場ロワー広場 (野外パフォーマンス); Circo Aereo / Thomas Monckton: The Pianist @ 東京芸術劇場シアターイースト (サーカス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2017/05/07

東京芸術劇場で毎年GW恒例の家族向けの演劇祭 TACT/FESTIVAL。今年も5日にまとめて観てきました。

I Kadek Budi Setiawan (aka Kadek Capung)
Eclipse
東京芸術劇場シアターウェスト
2017/5/5, 13:00-14:00.
Created by I Kadek Budi Setiawan (aka Kadek Capung). Performed by I Kadek Budi Setiawan et al.
Created in 2017.

インドネシア・バリの伝統芸能の影絵芝居 Wayang Kulit と仮面舞踊 Topeng による舞台。 どちらも宗教儀礼に結び付いていて伝統的には一緒に上演されるものではないとのことですが、 ヒンドゥー教の天地創造神話の中の月食・日食の起源にまつわる物語を使い、一つの作品としてまとめあげたとのこと。 ちなみに、作・出演の I Kadek Budi Stiawan は 『三代目りちゃあど』 (Ong Keng Sen (dir.): Sandaime Richard) [レビュー] に出演していました。 Wayang Kulit にも Topeng にもさほど馴染みが無いので、その動きの面白さ美しさをまとめて観ることができましたが、 現代的な演出の妙が楽しめるというほどではありませんでした。 音楽は Gamelan の生演奏でしたが、こちらも、Wayang 伴奏に用いられる slendro 音階の gender wayang と 20世紀に入って普及して現在最も一般的な pelog 音階の gong kebyar が使われていたとのこと。 金属音多めの打楽器アンサブルは生演奏ならでのライブ感もあって良かったのですが、 音階の違い、使い分けまではわかりませんでした。

Transhumance
劇団コープス 『ひつじ増量計画』
東京芸術劇場ロワー広場
2017/5/5, 14:45-15:15.
Origilan concept et Chorégraphie: David Danzon & Sylvie Bouchard
Performed by Jolyane Langlois, Takako Segawa [瀬川 貴子], David Danzon, etc.

次の公演までの時間はロワー広場で毎年恒例の『ひつじ』 [2010年のレビュー]、 ではなく、今年は劇団創設20周年ということで、ひつじを増やした20名バージョン『ひつじ増量計画』。 核となる Corpus のメンバーに加え、オーディション選抜もしくはワークショップ参加によるパフォーマーで増員していました。 といっても、舞台となる人口芝のスペースや、羊飼いに連れられてやってきて、 餌を食べたり排尿したり交尾したりした後、狼がやってきて混乱した後、帰っていく展開は一緒。 人間的な表情や仕草を排した感情的心理的な脈略が感じらない不条理さが魅力のパフォーマンスですが、 増員分のパフォーマーがそこまで徹し切れておらず、不条理さが薄まっていました。

東京芸術劇場シアターウエスト
2017/5/5, 16:00-17:00.
Production: Circo Aereo; Direction, creation: Sanna Silvennoinen, Thomas Monckton.
Performer: Courtenay Stevens.
Premier: 2013-09-04, Hämeenlinnan Teatterissa.

舞台登場から演奏開始までのドタバタを、時に異世界へスリップしつつ観客を巻き込みつの道化芝居で、 現代サーカスというほど演出構成が独特というほどではなく、演技も笑いの取り方もむしろオーソドックス。 大人から子供までしっかり笑いを取っていて、今まで観た FACT/FESTIVAL のサーカス演目の中で最もウケていました。 一時間は引っ張り過ぎで30分くらいでまとめた方が楽しめたのではないかという気もしましたが、 フェスティバルとしては、スタイリッシュだけどとっつきやすいとは言い難い現代サーカスだけでなく、こういう演目も交えた方が、 観る方も楽しめるように思いました。

去年はシアターイースト/シアターウエストの会場で3演目でしたが、今年は2演目。 どんどん規模が縮小していて、寂しい限りです。 Rosas 公演やボンクリ・フェスタ2017もあって、会場の制約もあったのかもしれませんが。 しかし、せっかく同じ東京芸術劇場で開催されている公演なので、Rosas 公演と FACT/FEST のハシゴを余裕を持ってできるよう、 開演時間や終演時間を設定して欲しかったものです。