原美術館で数年おきに開催されている Mercedes-Benz 社のメセナ活動 Art Scope の成果報告の意味合いもある展覧会を、久々に観てきました。 (前にレビューを残したのは、10年近く前になるのか……。) キュレーションされた展覧会ではなく三人三様の作風でしたが、画廊巡りすることを思えば、こういうグループ展示は、ありがたいです。
ドイツ・シュトゥットガルト在住の作家 Menja Stevenson が主に日本で制作した作品は、 ライトボックスの写真だったり、コンセプチャルなオブジェだったり、と様々。 そんな中では、浮世絵版画職人の小机を「版木」として刷った版画は、色だけのミニマルな浮世絵のよう。 李 禹煥 あたりも連想させられたけど、色だけからも浮世絵的な艶かしさも感じられるよう。 こういうミニマルな作風は好みです。
佐藤 時啓 は1983年の Art Scope の下、ドイツで撮影した1点のほかは、 ドイツ制作の新作というわけではなく、 『光−呼吸』シリーズの1990年代初頭の東京で撮った白黒写真 [レビュー] と、ほぼ同じ位置構図で撮った2017年のカラー写真を、同じ大きさにプリントして並置。 長時間露光したパンフォーカスの風景写真が好きというのもあるが、 時間お置いて撮影した写真をこのように並置されると、時間の経過を見い出そうと、思わず見入ってしまいます。
泉 太郎 のドキュメンタリ的に撮ったビデオも使ったちょっと雑然としたインスタレーションは、 いかにも21世紀の現代美術とは思いましたが、今の自分には合わなかったか、ピンときませんでした。