GRINDER-MAN [グラインダーマン] は 筑波大学総合造形 [鑑賞メモ] 出身のタグチヒトシの1997年に立ち上げたパフォーマンスグループ。 大学の先輩にあたる 明和電機 [鑑賞メモ] の下で工員だった人たちの作ったグループで、 1990年代末当時、耐熱防護服に身を包んだ男達が体に付けた鉄板にグラインダーを当てて火花を飛ばすパフォーマンス (このパフォーマンスの名の由来だ) が話題となり、 明和電機 に続く存在として看做されていた時期もあった。 その後、マルチメディアのパフォーマンスグループとして活動の幅を広げ、 現在は2005年に参加した振付家・ダンサーの 伊豆 牧子 と、2人を核として活動している。
GRINDER-MAN は2014年より、二子玉川のショッピングモール 二子玉川ライズ の主催、 世田谷パブリックシアター の制作協力で、 ショッピングモールの屋根付き広場「ガレリア」を舞台にした 野外パフォーマンス・シリーズ『rise Performance GO GO』を展開している。 この『Roulette』は、 『ZETTAI RED』 (2014)、 『MORE MORE』 (2015)、 『Forever Dancing』 (2016)、 『Marble』 (2016) に続く5作目。 以前から気にはなっていたのだが、なかなかタイミングが合わず、今回初めて観ることができた。
『Roulette』は『桃太郎』『太陽と北風』『白雪姫』『眠れる森の美女』『おおきなかぶ』『マッチ売りの少女』という民話・童話を題材に撮った、ライヴビデオプロジェクションとダンスのパフォーマンス。 といっても、物語るというより断片的な引用のコラージュで、 物語を朗読しつつポージングやダンスで構成したイメージビデオを撮影していく様子をパフォーマンスかしてライブで見せるよう。 キャッチーではないが、ビデオ撮影をパフォーマンスとして見せるようなメタなフレームワークはアート的。 しかし、過去のパフォーマンスの記録を見ると、観客とのインタラクションや借景のような空間使いをしていたようで、それを期待していたのだが、 この『Roulette』は野外パフォーマンスとしてやる必然性が感じられなかったのは残念。
連休中のショッピングモールでのイベントといえば大道芸も一般的になってきているが、 こういうパフォーマンスを持ってくるというのは、それらとの差別化という意味合いもあるのだろう。 しかし、世田谷パブリックシアターの協力も得て、それも継続して続けているというのは、頑張っていると思う。 このまま GRINDER-MAN で続けるのかどうかは別として、このような試みがうまく定着することを期待したい。