大阪の日本万国博覧会の万博美術館の建物を活用する形で1977年に開館した (2004年に中之島に移転) 国立美術館の40周年の展覧会。 千里の頃から積極的に現代美術を取り上げてきた美術館ということで、この40周年展も戦後の現代美術の展覧会だ。 日本人作家に限定せず半数近くは海外の作家で、コレクション作品を多く用いつつも、この展覧会のための作品もあり、規模大きめの国際現代美術展となっていた。
パフォーマンス作品やその記録のヴィデオ作品 (Marina Abramovic, Vito Acconci など)、 パフォーマンス性の高い形で製作された絵画 (白髭 一雄 など) などパフォーマンスと関係深い作品が多く集められていた。 事後のドキュメントばかりではなく、 美術館監視員と思いきや時々 “This is propaganda” と半ば歌うように声を上げる Tino Sehgal の作品や、 ギャラリーの中央に吊るされた石を3人の歌手が声というか息で吹き揺らす Allora & Calzadilla “Lifespan” のような、 劇的な所のないさりげないパフォーマンスを楽しむこともできた。 Tino Sehgal [鑑賞メモ] など最近注目されている作家だが、 過去のマスターピースも多いうえ、2000年代以降盛んになった work in progress 的なプロジェクトのドキュメントのような作品が目立たなかったこともあり、 むしろオーソドックスな現代美術展にも感じられた。
もちろん、パフォーマンスとは直接にリンクしないが、良い所蔵作品も出ていた。 畠山 直哉 の 『アンダーグラウンド』 [鑑賞メモ] や 米田 知子 の 『熱』や『壁紙』のような形式的な写真も印象に残った。 自動扉に描いてそこを通る形で鑑賞する Robert Rauschenberg: “Solstice” も 人数制限はしていたが体験できる形で展示されていた。 受付近くの 高松 次郎 の壁画的なパーマネント作品に Pipilotti Rist がビデオ作品を オーバーレイしていたのも、このような展覧会だから可能になったのだろう、と。
コンセプトを深読みしたくなるほどの強い印象は受けなかったけれども、 長年現代美術に取り組んできただけはあると思わせる充実した現代美術展だった。