最近は海外でのバレエ団でのコンテンポラリー作品の振付やオペラの演出の活動も目立つ 勅使河原 三郎 の新作は、雅楽の楽器である笙を伴奏に、佐東 利穂子 とデュオで踊るというもの。 映像も使わず、控え目な照明の演出のみで衣装も暗色。笙の響きも静謐に感じられるダンスだった。 バレエのイデオムは無く、少し腰を落とした姿勢ですり足気味で足を動かしたり手を回したりする動き。 勅使河原の精悍な雰囲気もあってか、舞踏というより武道的な動きをスピードを落として見ているよう。 雅楽 (古代) というより能楽 (中世) と親和性の高い動きのようにも思いましたが、 音がミニマリスティックだったせいか違和は感じませんでした。
宮田のアブストラクトにすら感じる笙の響きとミニマリスティックな演出は好みでしたし、 スリット状の光を使って、闇の裂け目から手を伸ばすような動きなど、光使いは良いなと思うときもありました。 しかし、ひたすら客席に向かって踊り続けていたのが気になってしまいました。 横に向くというより半身の構え、背を向ける時は振り返りに向けての準備動作のよう。 横動きで二人の位置を入れ替えたりしていましたが、、後ろに下がって、前に出てきて、と空間使いが単調に感じられてしまいました。
以前に観たのが1999年の Absolute Zero なので [鑑賞メモ]、約20年ぶり。 国内のカンパニーはつい後回しになりがちなのですが、いつの間にかこんなに開いてしまったか、と。 今回は、静岡遠征をやめてゴールデンウィーク後半に余裕があったので、 細川 俊夫 の作品でもお馴染みの 宮田 まゆみ [鑑賞メモ] の音楽ということもあって、足を運んだのでした。 意外と席に余裕があって、余裕ができた時に当日券でさっと観に行くものありかな、と。