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Review: The Music Of Toshio Hosokawa (concert) @ Tokyo Opera City Concert Hall: Takemitsu Memorial, Tokyo
2012/05/27
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
The Music Of Toshio Hosokawa
『細川俊夫の音楽』
東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル, 初台
2012/05/24, 19:00-21:00
1)Wie ein Atman im Lichte for sho solo 『光に満ちた息のように —— 笙のための』 (2002) 2)Woven Dreams for orchestra 『夢を織る —— オーケストラのための』 (2010) 3)Sakura - for the 80th birthday of Dr. Otto Tomek for sho solo 『さくら —— オットー・トーメック博士の80歳の誕生日に —— 笙のための』 (2008) 4)Sternlose Nachat - Requiem für Jahreszeiten for soprano, mezzo soprano, 2 narrators, mixed chorus and orchestra 『星のない夜 —— 四季へのレクイエム —— ソプラノ、メゾソプラノ、2人の語り手、混声合唱とオーケストラのための』 (2010)
宮田 まゆみ [Mayumi Miyata] (笙 [sho]) on 1,3; 準 メルクル [Jun Märkl] (conductor), NHK交響楽団 on 2,4; 半田 美和子 (soprano), 藤村 実穂子 (mezzo soprano), 東京音楽大学合唱団 (mixed chorus), 男性ナレーター, 女性ナレーター on 4.

今年の「コンポージアム」は日本人ながらヨーロッパを中心に活動する作曲家 細川 俊夫。 Wergo や ECM での録音で知る人だったので、生で聴く良い機会だろうと思い、足を運んでみました。 一番の興味は、宮田 まゆみ の笙のソロ。 前半、後半それぞれ冒頭10分程の曲を演奏したのですが、 パイプオルガンの前で吹いたので、その類似性を意識させられたよう。 今回のコンサートのハイライト『星のない夜』にしても、 第二次世界大戦末期の大空襲で崩壊したドレスデンの聖母教会 (Dresdner Frauenkirche) でのセレモニーにおけるレパートリーと考えれば、合っているのかもしれません。 パイプオルガンのような笙も合わせて、コンサートホールが教会になったよう、と思いつつ聴いていました。

Toshio Hosokawa (comp.), Mayumi Miyata & Stefan Hussong: Deep Silence (Wergo, 2004) のような 笙の音響を聴かせるようなCDから、音の響きをきかせるような作曲家なのかなと予想していたのですが、 最後の『星のない夜』が歌やナレーション入りだったせいもあるかもしれませんが、 1月に聴いた Sciarrino [レビュー] に比べて 式典的というかナラティヴな表現という印象を受けました。 比べるものではないとは思いますが、Salvatore Sciarrino の方が好みでしょうか。 というか、Sciarrino のコンサートはこの手のものとしては面白かったなあ、と、つくづく。