神奈川県民ホール時代から「アート・コンプレックス」として [鑑賞メモ]、 KAAT神奈川芸術劇場になってからは「KAAT EXHIBITION」と題して [鑑賞メモ]、 アニュアルで開催されている展覧会とパフォーマンスのコラボレーション企画を観てきました。
さわ ひらき は2000年代以降に映像作品を中心にインスタレーション等の作品を発表してきている現代美術の文脈で活動する作家。 グループ展等で観たことはありますがその時の印象は薄く、 2014年の東京オペラシティギャラリーでの個展は観ておらず、こうして作品をまとめて観るのは初めてです。
実写を多用していますが、ピクシレーション (コマ撮り) や、実写を背景にキャラクタ的なオブジェ等をシュールレアリスティックにコラージュしたものを動画化したような所は、 アートアニメーションのテイスト濃い映像です。 ドローイングを使っているわけではないですが、William Kentridge にも近いセンスを感じました。
インスタレーションや立体作品という観点からすると、 アンティーク風小物に埋め込んだ作品など、映像の作風に合っているように感じました。 しかし、匿名的なブラックキューブな空間が会場ということもあるのか、 空間を使ったビデオインスタレーションは、そうする必然性をあまり感じられませんでした。 映像を全て観るようとすると約1時間を要するボリュームだったので、むしろホールでの上映という形でじっくり観た買った。
展示会場 (中スタジオ) でパフォーマンスが行われている日もあったのですが、この公演は大スタジオで。 さすがインスタレーション作品も制作しているだけあって、映像を映す衝立も後方だけでなく、上手側で前方に折り曲が流というもの。 そんな作りの衝立に映像を投影するだけでなく、床面に投影したり、衝立からパーツが外れるようになっており、ダンサーにそれを持たせて投影させたり。 と、映像が単純に背景にならないような、かつ、正面性をずらして奥行きも生かした舞台使いになるよう、工夫が見られたのは良いと思いました。 衝立への映像投影に超短焦点の大画面プロジェクタを使っていて、 投影する映像がダンサーに被ってしまうことがほとんど無かったのも、印象的でした。 超短焦点プロジェクタの登場で、 ダンサーを投影する映像に埋没させてしまうことなく、むしろ横からのライティングと併用することでダンサーを映像から浮かび上がらすことが出来るようになったんだな、と。
にも関わらず、やはり映像がダンスの背景になってしまっていたように感じることが多かったのは、映像が既に作られているものでライブ感が無かったからでしょうか。 伝統的なバレエのイデオムに基づく 酒井 はな と、それを感じさせない力強いコンテンポラリーな 島地 の動きも、 面白い組み合わせとなっているとより、ソロの時の方が良く感じられてしまいました。 そんなこともあり、前半はかなり微妙に思っていたのですが、 段ボール箱の中で焚いたスモークを箱を叩いて穴から打ち出す場面頃から、 手持ちのパーツに映像を映させるなど、映像とダンスの関わりが面白くなったりと、 可能性を感じるところもあ李ました。このコラボレーションも、一つの試みでしょうか。