二週続けて 神保町シアターの特集 『生誕百五年記念――清水宏と小津安二郎』。 今度は未見のこの映画を観てきました。
あらすじ: 優秀な兄 善太 とガキ大将だが成績の悪い弟 三平。 父親は地元の会社の経営者だが、ある日、私文書偽造の容疑で会社を辞めさせられてしまう。 さらに父親は警察に拘留され、家財は差し押さえられてしまう。 そんな中、近所の子供達も、善太や三平と疎遠な態度をとるようになってしまう。 困窮した母親は、幼い三平を離れた街に住む親戚に預け、仕事を探すことにする。 預けられた先で、盥に乗って川に流される、河童に会いに行くと言って姿を眩まし、サーカスに入門する、と言った騒動を引き起こす。 持て余された三太は母親の元に帰される。 母親は、善太と二人で住み込みで働くと話を付けてきた病院へ、善太の代わりに三平を連れて行くが、三太では幼いと、断られてしまう。 母親は途方に暮れるが、そんなとき子供達が偶然、父親の無罪を証明できる日記を発見する。 父親は無罪放免となり、子供達にも以前のように遊び友達が戻ってきた。
児童文学を原作とした子供が主人公の「子供映画」ですが、 やはり 坪田 譲治 原作で2年後に公開された 清水 宏 『子供の四季』 (松竹大船, 1939) [鑑賞メモ] とかなり似た映画です。 兄弟は善太と三平で、善太、両親役、おじさんおばさん (祖父母役) が同じ俳優ですし。 大人の世界での社内政治の話と子供の世界の絡め方といい。 監督も同じ 清水 宏 で画面の作りやのんびりしたテンポの演出も似ていて、記憶が曖昧になる数年後には色々混同してしまいそうです。 しかし、この『風の中の子供』は、父がいなくなり、母子で苦労する場面があり、 いわゆる母子ものメロドラマ [関連する鑑賞メモ] という面を見せる時があるという所は違うでしょうか。 母子ものメロドラマといっても、ハッピーエンドで終わるというだけでなく、 野外ロケの開放的な画面の美しさ、子供中心のユーモアもあって、後味は良いです。 子役の良さもありますが、母子ものという面もあったせいが、そういった映画での母役にハマる 吉川 満子や、 河村 黎吉や坂本 武とかの大人の俳優陣も人情味が感じられて良い、ということにも気付かされた映画でした。