ブラジル系のバックグラウンドの持つオランダのパペット・ダンサー Duda Paiva のカンパニーの公演。 予備知識はほとんど無かったものの、パペット・ダンスへの興味で足を運んでみました。 Paiva 自身の疾患で一時的に視覚を失った経験、というか、その原因となった免疫系疾患の体験に着想した、コンテンポラリーな演出のパペット・ダンスでした。 あらかじめ据え置かれた人形の下に入って操ることもありましたが、 その人形と組んで踊るだけでなく、 衣装の腹や背中に瘤のように仕込んでおいた小さく折り畳むことができるウレタンフォーム製の人間大の人形を取り出して、操りながら踊りました。
大道芸などでのパペットダンスは、 片腕で人形を演じてそれと組むかのようにしてボールルームダンスを踊ったりするわけですが [鑑賞メモ 1, 2]、 片腕でパペットを演じつつ踊るという形式という点では意外とオーソドックスな形式を維持しつつも、 暗黒舞踏からの影響も感じられるコンテンポラリー・ダンス的な動きで演じていきます。 疾患によって身体中にできた瘤に対する違和感、痒痛や自分の身体とは感じられない違和感や、 そんな疾患と向かい合うことを、 少々グロテスクなパペットとのダンスとして表現しているよう。 パペット・ダンスというフォーマットでここまで行けるのだな、と、感慨深く観ることができました。
周りに囲むように客席が作られ客弄りがあるという噂もあって、もう少しサーカス/大道芸的な要素もあるかと期待していたのですが、 客弄りは導入とちょっとした補助という程度で、照明演出などにしても正面性の強い演出でした。