洞窟をモチーフもしくはメタファーとして使った作品による企画展です。 北野 謙 の幼児をフォトグラムや、 Gerhard Richter の街中の人を捉えた写真にエナメルで抽象的に着彩した “Overpainted Photograph” など、 テーマと作品の間にワンクッションあるようで腑に落ちたわけではありませんが、 落ち着いた雰囲気の展示は好みでした。 特に、Osamu James Nakagawa の沖縄のガマを撮った写真の、 墨や鉄錆でほとんどテクスチャのようになったイメージが気に入りました。
地階展示室では『写真新世紀 2019』。定点観測です。 去年までのここ数年、現代アート・プロジェクトのドキュメントのような作品が目に付きましたが [鑑賞メモ]、 今年はビジュアルな表現に回帰したように感じました。 最も気に入ったのは、去年のグランプリ受賞者の新作個展ですが、 アジア各地の苗木場を液晶絵画のように静的に捉えてクロスフェードで繋いだ映像を使った新作インスタレーション Song-Nian Ang: Artificial Conditions – Something To Grow Into でした。
この後、恵比寿ガーデンシネマに移動して、この映画を観ました。
ヌーヴェルヴァーグ左岸派の中でも難解で知られたこの映画を初めて観たのは高校生の時 (1980年代中頃)。 その後、観直したこともありましたが、 2010年の Alain Resnais 全作上映の際 [鑑賞メモ] には観なかったので、観るのも二、三十年ぶりでしょうか。 女Aと再会した男X、Aの夫Mの3人の関係する1年前の出来事を錯綜した記憶で描いた映画で、 現在、Xの回想、Aの回想、過去の事実の4つのシナリオをはっきりわからない形で組み合わせて作り上げられた作品ということで、 4つのシナリオを見分ける意気込みで望んだのですが、結局、それはよくわからず。 かつては Resnais の映画を解読するかのように観るのを楽しんだものですが、最近はなかなか集中が続きません。 しかし、Schloss Nymphenburg などバイエルンのバロック様式の宮殿をロケ地に、修復された美しい画面の中、 Chanel のゴージャスな服をまとった Delphine Seyrig のミステリアスな美女っぷりを堪能できたので、よしということで。