今年の3月28, 29日にロームシアター京都サウスホールでの公演が予定されていたものの COVID-19パンデミックのため中止となってしまった18年ぶりの新作『2020』ですが、 初演が予定されていた3月28日に無観客で収録された映像が期間限定のストリーミングで公開されました。 高谷 史郎 の舞台作品を見る機会はそれなりにあったので [鑑賞メモ] 18年も間が空いた気がしなかったのですが、 ダムタイプとしては2002年の『ヴォヤージュ』 [関連する鑑賞メモ] 以来です。
背景に正方形のスクリーンが3枚、場面に応じて降りてきて使われるだけで、大きな舞台美術は無し。 その一方で、舞台中央の5m四方程度の正方形の奈落があいていて、その周りでパフォーマンスが繰り広げられます。 照明も白色光をベースとして色味の少ないミニマリスティックなビジュアルです。 冒頭の場面での、振り子のように振れる照明が床近い時はまるで鏡面のように穴が光り、それが引き上げられるにつれて黒い穴となっていくという視覚効果も抜群。 冒頭の場面に続いての四角の穴を闇に落としてその周囲でスキャンする円に合わせてのソロダンスや、 ラストの三対幅正方形スクリーンに Dumb Type らしい映像を投影してのその下でのソロダンスなど、 Dumb Type の流石のビジュアルの美しさでした。
中盤、正方形の穴の周囲で5人のダンサーが身振り手振りで討論するような場面や、 2人が横たわり瞬きする様をスクリーンに投影しつつナレーションで会話であるかのように見せる場面などもあり、 スタイリッシュなビジュアルに空虚さを感じることも多いのですが、この作品ではその空虚さ自体が俎上に上がっているように感じました。