新国立劇場ダンスのラインナップには「大人も子供も一緒に楽しめるダンス作品」の公演があるのですが、その2020/2021シーズンの公演です。 今回の Co.山田うん は先日、国立劇場の『二つの小宇宙 —めぐりあう今—』で 声明の会・千年の聲 と共演した『Bridge』を観た程度の予備知識 [鑑賞メモ] しかありませんが、 2019年に 森山 開次 『NINJA』を楽しんだので [鑑賞メモ]、 この「大人も子供も一緒に楽しめるダンス作品」シリーズはフォローしておきたい、と思い、足を運びました。
休憩を挟んで前半30分、後半30分。 明確なストーリーがあるというほどでは無いのですが、 ダンサーにはそれそれ演じる役 (主人公のゆめたとオバケたち) が割り当てられ、 主人公の一晩の夢 – オバケたちとの遭遇、そして、亡くなった祖母との天国での再会が描かれます。 演じる役が書かれたプログラムを開演前に見ていて、 役を演じて物語るようなナラティブな作品を予想したのですが、 全員で踊る場面も多くて、ダンスを楽しむことができました。 ちなみに、オバケッタはオバケ+オペレッタということのようですが、 その絵本のようにポップでカラフルな衣裳のダンサーだちが踊る様子も、 ダンサー自身が歌を吹き込んだというミッドセンチュリー風の音楽も、 オペレッタというよりミュージカルに近く感じられました。
作品のメインの場面ともいえる後半の前半の天国の場面のちょっと感傷的な展開も悪くないのですが、 ダンスを楽しんだ場面というと前半、 「壁男と電気男とクモマニヨン」の男女3組のダンスとか、 ボリウッドとゾンビダンスが混じったような「メデューサ 」を楽しみました。 小劇場の狭い舞台の上に13人のダンサーを一度に乗せた上で、 3班に分けて音楽でいう三重カノンのように動きを組み合わせたり、と、 空間的に密度の濃いダンスも印象に残りました。 登場するオバケたちは原色多めのカラフルさでキャラクターも立っていたのですが、 何故かその中では地味でコールド相当ともいえるホコリの妖精/クモマニヨンが最も気に入ってしまいました。