鳴らすことのできる彫刻、音が出るオブジェを集めた展覧会です。 近年よくあるサウンド・インスタレーションは外され、 叩いて鳴らす打楽器的なオブジェに偏りがある、制作年などの背景を考慮しないフラットな展示、など、 網羅性、体型性には少々物足りなさを感じましたが、会場規模などを考えると、仕方ないでしょうか。 触って音を出せる展示、音が出るよう実演のある展示が多く、さらには体験コーナーも設けられ、音出しも楽しい展覧会でした。
最近は、大きく音を鳴らすものより、繊細な音を響かせる作品が好み。 金沢 健一《音のかけらテーブル》 [過去の鑑賞メモ] をはじめ、 齋藤 鉄平《波紋音》や 松本 秋則《竹音琴》などが発する繊細な音を楽しみました。 レコード/CDで音を聴き写真で観る機会はそれなりにあるものの、なかなか実物を観る機会のない Hans Reichel の “Daxophone” が、展示のみで鳴らすことができなかったのは、少々残念。
その一方で、お馴染み明和電機 [過去の鑑賞メモ] などの 電気仕掛で音をだすオブジェ作品の実演 (無人の自動演奏ですが) も楽しみました。 会場が狭く、会期末の週末ということもあり子連れ客も含め賑わっており、 その賑やかさの中に繊細な音がかき消されがちだったのが、少々残念でした。