平山 素子 振付作品を新国立劇場バレエ団ダンサーが踊る、中劇場を使ってのダンス公演です。 第一部で新作『半獣神の午後』を、休憩を挟んで後半に2008年初演の『春の祭典』を上演しました。 何回か再演されていますが 平山 素子 の『春の祭典』を観るのは初めてです。 明示はされませんでしたが、いかにも Nijinsky / Ballets Russes を連想させられる組み合わせです。
前半はニンフが出てこない代わりに半獣神 (牧神) が1人ではなく群舞、ソロ、デュオと変奏して展開します。 官能的というより健康的な身体美という感じだったのは、ニンフ抜きという演出だけでなく、ダンサーたちの資質もあるでしょうか。 後半の『春の祭典』は、Pina Bausch [鑑賞メモ] にしても Noism [鑑賞メモ] にしてもそうですが、 生贄の乙女のプロットや群舞のイメージが強いわけですが、 デュオとすることでそこを外され、2人のダンサーと2人のピアノ奏者という構成もあり、グッと形式的に感じられました。 しかし、この場合は終わりはどうするのだろうと思って観ていたら、床に敷かれた布もろろも舞台下へ吸い込まれていきました。
身体能力の高いダンサーの資質もあるかもしれませんが、 原典のプロットはあえて外して、形式的な作りをしているようにも感じられました。 しかし、現在の社会的状況を意識させられるような Noism の『春の祭典』を観てから1年余りしか経ってないせいか、 もしくは、2008年という制作年の時代の雰囲気なのか、 かなりあっさりとした演出に感じられてしまいました。