1999年代末から写真、現代美術の文脈で活動する作家の個展です。 グループ展などで観る機会はそれなりにありましたが、美術館の個展の規模で観るのは、 2012年 東京都写真美術館の『照度 あめつち 影を見る』[鑑賞メモ] 以来です。
細やかな煌めきを、逆光や露出過剰気味だったり、ピントを外したり、モヤやチリ越しだったりする白っぽいぼんやりと捉えた写真や映像が印象に残ります。 その一方で、構図などの写真の撮り方に強いこだわりが感じられず、良くも悪くもいろんなタイプの写真が入り混じるので、全体の印象もぼんやりとしたものになります。 そんなところが少々苦手だったのですが、今回は大規模な展示ということもあるのか、インスタレーションの妙を感じる所もありました。
特に、水面の煌めきを撮った映像を床面に投影した《A Whisper》や、 アイスランドの雄大な自然を壁2面に大きく投影した《M/E》などのビデオインスタレーションや、 厚いガラスもしくは透明なアクリルのブロックの一面に写真をインクジェットプリントしてその中に写真を封入したかのような作品など、印象に残りました。
収蔵品展は『連作版画の魅力』。 展示されていた 李 禹煥 の作品を見ていて、 国立新美術館での個展で示されていた反復から混沌そして秩序というストーリー [鑑賞メモ] から捨象されてしまったものもあったと、 改めて感じてしまいました。