中国出身の振付家/パフォーマンス作家による中華街に取材した作品です。 バックグラウンドや作風は全く知りませんでしたが、YPAMの委嘱による上演ということもあり、観てみました。 世界各地の中華街住民とのコラボレーションでダンス作品を作るプロジェクトの第一作として、横浜中華街が選ばれたとのこと。 中華街出身で無国籍者になった経験もあり華僑や無国籍者に関する研究者である 陳 天璽 をリサーチアドバイザとし、 様々なバックグラウンドを持つ中華街住民をパフォーマーとして作り上げた作品でした。
ダンサーではない一般の人を使った作品といえば Jérôme Bel: The Show Must Go On [鑑賞メモ] も思い出しますが、 このようなメタな作品良いうより、いわゆるコミュニティ・ダンスのような作品を予想してました。 しかし、ダンス作品らしい場面といえば幕前でゲストダンサー5人が踊る 冒頭の場面くらいで、 中華街住民は歩かせたりちょっとした所作はさせるものの、むしろ自己紹介的なことを語らせることがメイン。 むしろ、ドキュメンタリ演劇、例えば、 Rimini Protokoll: 100% Tokyo [鑑賞メモ] を連想させられました。
およそ20名ほどのパフォーマーを使っているため、一人一人のエピソードが薄くなってしまいます。 やはり、自己紹介程度のことを聞かされも一面的な事しかわかりません。 この作品の背骨的な位置にもあった、リサーチアドバイザの 陳 天璽 が無国籍者になった経緯や その親の来歴のようなエピソードなどは興味深く、もっと深掘りして欲しいと思う時もありました。 中華街住民の多様性を表現するにはある程度の人数が必要、というのもわかるので、 核となるエピソードにどこまで焦点を当てるか、そのバランスの難しさを感じた作品でした。