現代の作家を集めての特別展です。企画意図は掴みかねるところはありましたが、印象に残った作品について、個別に。
20世紀における日本家屋の特に第二次世界大戦と関係を題材とした鎌田友介のビデオ、写真等を交えたインスタレーション作品《Japanese Houses》(2003) は、 ビデオ中でも語られるモダニズム建築と日本建築の関係を示唆するかのような、色彩を落とした空間構成、 そして、俳優/マイムパフォーマーをフィーチャーしてはいるものの演出は最小限としたビデオと、 そのビデオの中での戦前前後と日本で活動したモダニズムの建築家Antonin Raymondの逸話に取材した語り、 ビデオの最後に明かされるのですが疎なBGMかのように響くピアノの調律の響き、など、 抑制の効いた落ち着いた雰囲気のナラティヴな作品でした。
近年、グループ展で観る機会が多い 潘 逸舟 の作品は、 楚劇の演目「打豆腐」に基づく《家ではない場所で豆腐を作る》“Making Tofu at a place that is not home” (2023)。 スタイリッシュな映像と不条理さの組み合わせという点では海辺でのパフォーマンスに基づく一連の映像作品 [鑑賞メモ] とも共通するのですが、 このビデオで語られる物語には落語にも似たユーモアを感じました。
1970年代以降 Hi-Tech, Postmodern とも括られる多様なスタイルで Centre national d’art et de culture Georges Pompidou (1977)、 関西国際空港ターミナルビル (1988-1994) 等を手がけるイタリアの建築家 Renzo Piano と、 1970年前後から風を受けてモービルや風車のように動くキネティックな立体作品を多く手がける「風のアーティスト」新宮 晋 の、2人展です。 関西国際空港ターミナルビル (1988-1994) 以来、 Piano の公共建築に 新宮 のパブリック・アート作品が設置される形のでの協働を続けており、 それを軸に展示が構成されています。
模型や図面などの資料に基づく建築展は得てして捉えづらいものですが、この展覧会では資料は最低限、 Studio Azzurro [鑑賞メモ] による Renzo Piano 建築を紹介するビデオの広いギャラリー壁面への投影がメイン。 捉え所のない Renzo Piano の建築に秘められたモチーフの芋虫やアルマジロ (もしかしたら Studio Azzurro が着想した比喩かもしれない) も交えた 映像のさりげないユーモアの塩梅も良く、新宮 晋のキネティクなオブジェとの組み合わせも楽しい展示でした。