1990年代から現代美術の文脈で活動する作家の回顧展的な個展です。 グループ展やコレクション展示で観る機会はそれなりにありましたが、個展を観るのは初めてです。 コンセプチャルな作風で、その一面の典型は、 銀行に口座を作って通帳やカードを並べたり、保険や投資に関するドキュメントなどを、 コンセプトに沿ったドキュメント類のコレクションを配置してインスタレーション化した作品など。 しかし、自分の好みは、2010年代以降の作風になるのでしょうか、 『パネル』、『交流』、『収納装置』や『地動説』のような、ルールに沿って制作された比較的すっきりミニマルな造形の作品でした。
東京都現代美術館のアニュアルの現代アートの展覧会です。 ほぼ毎年定点観測的に観てますが [去年の鑑賞メモ]、 例年取り上げられる作家数は5人程度ですが、今回は10ユニットと数も多く、 それらの作風もあってか雑然とした印象を受ける展示空間で、企画も散漫に感じられてしまいました。
そんな中では、空間中での線画の動きを金属メッシュで連続する立体として表現した上でスリット状の光を動かしなが ら当てることで空間中のアニメーションとして見せる 後藤 映則 の作品は NTT ICC のオープンスペースでも観たことがありましたが [鑑賞メモ]、やはり良いです。 CG的な形状と動きを実体化した上で映像と並置する 石川 将也/杉原 寛/中路 景暁/Campbell Argenzio/武井 祥平 の作品も好みでした。この作風もNTT ICCに合いそうです。 他に、筆跡を針金で立体化した 荒井 美波 や、タンポポの綿毛で構成した小さく繊細な (euglena) の立体作品も、印象に残りました。