中東系ユダヤ人のルーツを持ち、イスラエルの出身で Batsheva Dance Company での活動の後、 アメリカに拠点を移したダンサー/振付家 Danielle Agami が、 2012年に立ち上げたロサンジェルスを拠点とするカンパニー Ate9 Dance Company のダブルビルです。 Batsheva Dance Company はそれなりに観ているという程度の事前知識で、 アメリカのコンテンポラリー・ダンス・カンパニーが来日する機会が少なく (自分が観たのは Benjamin Millepied L. A. Dance Project [鑑賞メモ] 以来10年ぶり)、 久々に観る良い機会かと足を運びました。
前半はイスラエルの紛争 (conflict) をテーマにしたという30分ほどの作品です。 7人のダンサーによる、体をぶつけたり投げ出したりという荒い動きと、日常的と感じる動きが、交錯します。 ロサンジェルスのイラン系DJによるアブストラクトなブレイクビーツを使い、 後方や袖は暗く落とし、白っぽい床に薄くベージュがかった白の衣裳でにライティングのみミニマリスト的な演出でしたが、 それが単調にも感じられ、掴みどころなく感じました。
後半は、オルタナティヴ・ロック Wilco のドラマー Glenn Kotche による生伴奏を使った50分ほどの作品です。 前半と同じ7人のダンサーによって演じられました。 壁も床も剥き出し感のある状態で、ジェンダーレスな黒の衣裳で時に赤を纏い、折り畳みパイプ椅子を道具に使います。 一人から数人の間の日常的なやり取りを時にデフォルメしたかのようなスケッチを、音楽に即興的なダンスも交えつつ、繋げていくような展開でした。 ユーモラスな動きも多く、また、生演奏の伴奏も爆音ドラムから鉄琴類の繊細な音までメリハリある緊張感で、グッと引き込まれて観ることができました。
良かった後半 calling glenn の印象のおかげもあってか、 もしくは、公演後のトークでの気取らない雰囲気もあってか、抽象度高めの作品の割には親しみやすやを感じました。 そういう所はヨーロッパのカンパニーにはあまり無い雰囲気かもしれません。