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Review: Olafur Eliasson: A harmonious cycle of interconnected nows @ 麻布台ヒルズギャラリー (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2024/04/07
A harmonious cycle of interconnected nows
麻布台ヒルズギャラリー
2023/11/24-2024/03/31 (1/1休), 10:00-19:00 (火-17:00;金土祝前-20:00).

自然現象に着想した作品で知られるアイスランド系のデンマーク出身の作家 Olafur Eliason [関連する鑑賞メモ] の個展です。 2023年11月24日にオープンした麻布台ヒルズに併設されたギャラリーの開館記念として開催されたものです。 同じ森ビル系の六本木ヒルズにある森美術館と比べるとかなり麻布台ヒルズの展示スペースは小規模です。

«Firefly biosphere (falling magma star)» (2023) はペンダントライト風の 回転して移ろう光と影が織りなす色彩を楽しむ作品ですが、 外部から強い光を当てる作品から [鑑賞メモ] から、 内部にLED光源を内蔵する作品への展開も、光源の技術的な進化によって可能になったというところでしょうか。

レンズで集光した太陽光を紙の円盤に焼き付けた «Sun drawing» シリーズや、 風による振り子の振動をアクリルインクで紙の円盤に記録した «Wind writing» シリーズ、 «The melting globe» シリーズのような淡い顔料のシミのような水彩画など、 自然現象を相手にしているだけに単純な幾何学的形状にならないものの、 スッキリ端正な抽象画に落とし込んでいます。

今回の展示のハイライトであるブラックボックス中のインスタレーション作品 «Your split second house» (2010) は、 回転するホースから噴き出すのたうつような水飛沫の連なりを、ブラックボックス中のストロボライトで断続的に視覚的に切り出していくようです。

西麻布ヒルズギャラリーのオープニング展に Olafur Eliasson が選ばれたのは、 Eliasson の «A harmonious cycle of interconnected nows» (2023) が 西麻布ヒルズ森JPタワーオフィスロビーにパブリックアートとして展示されることになったという経緯からなのですが、 再生亜鉛合金の粗い粒が連なるような形状は «Your split second house» の水滴の連なりにも重なるところがありました。

ギャラリーに併設されたカフェでは Studio Olafur Eliasson Kitchen とコラボレーションした ビーガンフード、ベジタリアンフードなどを使ったりメニューも提供していました。 共同開発した和食や発酵文化を取り入れた点の興味を引かれたのですが、奇を衒ったものではなく、赤米のおにぎりや味噌汁が付いていました。