ゴールデンウィーク中の4月30日の夕方、銀座1丁目界隈で美術展巡りしてきました。
カナダ出身の現代美術作家2人組の個展です。
立体的なサラウンド・サウンドを使ったインスタレーションでも知られますが、
小さなギャラリーでの個展ということで、小ぶりな壁付けのファウンドオブジェのアッサンブラージュ作品11点が展示されていました。
彼ららしく音が出る作品で、アッサンブラージュの造形も、またシュールレアリスティックで演劇的な時間展開が感じられるという点でも、
2017年に金沢21世紀美術展で見た個展 [鑑賞メモ] のミニチュア版のようでした。
小ぶりのスーツケースを持ち運びの人形劇場に仕立てた Suitcase Theatre (2020/2023) では、
1分程度の寸劇の上演の映像が数本、作品に組み込まれたスマートフォンで上映されます。
人形の造形も肩の力が抜けたユーモアが楽しい作品です。
他の作品はここまで演劇的な仕掛けがあるわけではないのですが、
作品に付けられたスイッチを押すと、数秒から数十秒の音が流れます。
作品に動きがあるというわけではなく、流れる音も明確な筋が作り込まれているわけはないのですが、
音により時間の進みが感じられるようになり、アッサンブラージュされたファウンドオブジェから物語がうっすら浮かび上がるよう。
ボタンを押すことで始まる超短編の人形劇/人形アニメーション観ているような、そんな楽しさを感じました。
2000年代以降に現代美術の文脈で活動する作家の個展です。
グループ展で観たことはありますが、個展は初めてです [鑑賞メモ]。
この個展ではオブジェへ投影する映像作品もありましたし、インスタレーションなども制作しているようですが、
やはり良かったのは、展覧会のタイトルにもなった縦2m横1.5m程の大きな絵画16点組の『海と記号』。
少々ムラのある深い青の「海」の上に描かれた抽象的なシルバーの「記号」といった題ではあるのですが、
描かれている図像の要素がアクションペインティングでのドリップのようであり、照明の加減もあってか背景の色ムラもカラーフィールドペインティングのようであり、
抽象表現主義的な表現にグッと寄ったように感じられました。