ドイツのコンテンポラリーダンスの文脈で活動した振付家 Pina Bausch (2009年没) の最晩年作の、 彼女が率いたカンパニー Tanztheater Wuppertal によるリバイバル上演です。 かつては数年おきに来日していましたが、2017年の Neklen [鑑賞メモ] 以来8年ぶりの来日です。
象徴的ながら大掛かりな舞台装置が印象に残ることが多い Pina Bausch ですが [2004年の Ten Chi の鑑賞メモ]、 この作品はドレープのある薄手の白布がいく筋か下げられたシンプルなもので、 ライティングとナチス期ドイツのモノクロ映画 Viktor Tourjnsky: Der Blaufuchs (UFA, 1938) での演出でした。 しかし、スリムな黒の上下と男とロングのキャミソールドレスという姿の女が、私的な語りを交えつつ、時に遊びを感じる仕草を交えた踊りを繰り広げる、という定番の展開で、 Nazareth Panadero や Julie Shanahan など昔ながらのダンサーも出演しており、 (Kontakthof 以降のスタイルが定まった) Pina Bausch を観た、という感慨がありました。
しかし、衣裳も振付も性差を感じさせない Nederlands Dans Theater 2 の公演を観たばかりだったせいか、 今となってはその衣裳や振付が保守的に感じられてしまうことは否めず。 多様なミュージシャンの既存の音源を使った音楽も、選曲のセンスの良さは感じられるものの、なまじ知っているミュージシャンや曲が少なからずあるだけに、 DJ的とすら感じる元の音楽の文脈を外すような使い方が、気になってしまいました。 Cluster & Eno や Hope Sandoval の様なポピュラー音楽、特にロック的な文脈のもの場合、時代的な文脈が少し気になった程度ですが、 ノルウェーの少数民族サーミ (Saami) の歌手 Mari Boine の曲など、その文脈を外してオシャレなダンスのBGMとして消費しているかのよう (ワールドミュージック的な音楽消費の一面とは思いますが)、とも感じてしまうという。 そんな限界も感じてしまった公演でした。