京都服飾文化研究財団の服飾作品や資料のコレクションに基づく1920年代のデザインの流行 Art Deco をテーマとした展覧会です。
Paul Poiret, Jean Patou などの1920年代パリのモード、女性向けファッションを中心に据えた構成ですが、
Gabrielle “Coco” Chanel, Madeleine Vionnet, Jeanne Lanvin ら女性のクチュリエを特集したコーナーや、下着やスポーツウェアのコーナーも設けられているところが、この展覧会の特色でしょうか。
しかし、華美なハイファッションのドレスや装飾小物が多く展示される中、Art Deco 本流というよりむしろ同時代の Avant-Garde とも言える Sonia Delaunay のコートに惹かれてしまいました。
19世紀末の1895年に設立されたフランスのハイジュエリー (高級宝飾品) メゾン Van Cleef & Arpels の展覧会です。 タイトルでアール・デコを謳い、特に本館では、 1925年パリ Art Deco 博 (Exposition Internationale des Arts Décoratifs et Industriels Modernes) でグランプリを受賞した Entwined Flowers, Red and White Roses bracelet をはじめ戦間期1920年代から30年代にかけての作品を中心に展示していました。 しかし、“Minaudière” (Van Cleef & Arpel が1933年に特許取得した小物入れ) のような装飾小物はまだしも、宝飾品は Art Deco に限らずモダン・デザインと相性の悪いことを実感してしまいました。 Bvlgari 展 [鑑賞メモ] では楽しめるポイントがあったのでそこを期待したのですが、やはり“not for me”と感じた展覧会でした。
しかし、三菱一号館美術館よりも東京都庭園美術館の方が混雑していたのは意外でした。 三菱一号館美術館の展覧会が、2022年の『ガブリエル・シャネル展』 [鑑賞メモ] のように有名なブランドもしくはその創設者をフィーチャーしてなかったということもあると思います。 また、同じ日に続けて観たこともあり、客層の違いに興味を引かれました。 ファッションやデザインに興味があるわけでなくそれらに関する展覧会には来ないような観客も宝飾品の展覧会は集客するのか、と。
2025年は Art Deco 博から100年ということで、Art Deco を謳った展覧会を2025年のうちに観ておこうと、年末に2つの展覧会をハシゴしたのでした。 しかし、2025年に Art Deco をジャンル横断的に回顧するような展覧会が無かったのは残念。 東京都庭園美術館の場合、毎年の建物公開と合わせて日本における Art Deco 受容などの展示をしていますし、 2022年には『交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー』 [鑑賞メモ] という展覧会もありましたし、 改めて企画する程ではなかったのかもしれません。