サスティナビリティをテーマとした国際写真賞プリピクテ Prix Pictet の第11回の最終選考者 (ショートリスト) の展覧会です [前回の鑑賞メモ]。
今回のテーマは「Storm/嵐」ということでしたが、嵐のような短時間で発生する自然災害だけではなく長期的な環境破壊 (今回の受賞者 Alfred Jaar のグレートソルトレイク)、
さらに、人間社会における「嵐」ということでしょうか、戦争や騒乱のような出来事を題材とした作品
(新井 卓 の広島原爆投下, Balazs Gardi のホワイトハウス襲撃, Belal Khaled のガザ、Laetitia Vançon のウクライナ) も半分近く占めていました。
そんな題材への興味もありましたが、いわゆる報道写真とは異なり、作家性の高いフォーマルでコンセプチャルな作風の写真が楽しめました。
特に良いと思ったのは、コンゴ共和国の Boudouin Mouanda。
2020年に首都ブラザビルを襲ったコンゴ川洪水に取材したものですが、洪水が治った後に、住民自身が直面した状況を象徴的な形で演じた演出写真としています。
一見では災害を題材としているとは思えないような、そして、サブサハラ・アフリカの現代美術 [鑑賞メモ] との共通点も感じる鮮やかの色彩を使った絵画的な画面作りです。
また、私物を持ち寄って撮影したことのことですが、被災する前の仕事、学校、家事や家族団欒など日常生活の様子を伺わせます。
さらに、被写体を、可哀想な被害者としてではなく、むしろ、普通の生活をしている人々として見ているようにも感じられました。
総合開館30周年記念で企画されたグループ展です。
美術館レベルでの個展でもおかしくないような作家5名で、個展を観たことがある作家もいて、既視感を強く感じる展覧会でした。
しかし、どうしてこの5人なのか、展覧会を通してのテーマはあるのか、どうも判然としないものがありました。
5人中2人が広島原爆投下に関わるテーマの写真が展示され、1人もそれに関する写真が含まれていたので、
展覧会を通底するテーマの1つのようにも感じられました。