東京都写真美術館主催のアニュアルの映像芸術展 [去年の鑑賞メモ]、例年通り定点観測してきました。 今年は台湾出身の方がメイン・キュレーターとのことで、サブタイトルにもあるように多声的 (多文化、多言語) な色合いを感じ、 また、音楽、音声を含む音をテーマにした作品、台湾を含む東アジア、東南アジアの作家が多めの構成でした。
メインの東京都写真美術館の順路上最初のフロアとなるB1Fは規模大きめのインスタレーションが4作品。
リサーチに基づきビデオも使って国際美術展らしい洗練を感じましたが、少々、空虚さも。
むしろ、続く2Fの展示がよかったでしょうか。
オーストラリアの作家 Angelica Mesiti のビデオ作品 «The Rite of When» 《時にまつわる儀式》 (2024) は、
現代の異教 (pagan) の民俗音楽 (合唱)・舞踊からなる儀式的なパフォーマンス作品を収めたビデオという感じで、最も気に入った作品でした。
台湾に残した日本文化の影響のうち1950-60年頃に作られた日本の曲に台湾語の歌詞が付けられた歌3
曲に着目し戦前の日本統治時代の女学校等に遡り音ではなく刺繍を使った作品にした、
台湾の作家 候怡亭 [Hou I-Ting]の《所有的小姐 [レイディたち]》も、印象に残りました。
東京都現代美術館収蔵作品から、田中未知/高松次郎の言語楽器《パロール・シンガー》 (1974) が展示されていて、そんなものもあったのか、と。
3Fはコミッション・プロジェクトと東京都コレクションが半々の展示でしたが、
東京都コレクションの展示の方が興味深く観られたでしょうか。
さわひらき のビデオ作品 «pilgrim» (2022) は朝香宮邸竣工写真の組み合わせで展示されて、
2022に東京都庭園美術館で観たサイトスペシフィックな上映 [鑑賞メモ] とは違い、
いかにもホワイトキューブでの展示の作りで写真と映像の形式的な対比をするような展示となっていました。
館内B1Fや2Fのロビーや階段室を使って、京都を拠点に活動する
冥丁 [Meitei]のレコード『古風』三部作 (2020-2023) がサウンドインスタレーション的に使われていました。
そんなことも、音に意識的な展覧会に感じました。
東京都写真美術館のある恵比寿ガーデンプレイスのセンター広場では
exonimo のモニュメンタルなインスタレーション《Kiss, or Dual Monitors》 (2017) の2026年恵比寿映像祭ヴァージョンが設置されていました。
東京都写真美術館2Fに撮影ブースも設けられ、観客参加型に。このような野外展示も芸術祭らしいでしょうか。
地域連携プログラムからは、かつて NADiff a/p/a/r/t のあったビルの3階のギャラリー MEM で、
Robert Wilson 追悼企画 Eleven Drawings for Einstein on the Beach + Video Portrait of Lucinda Childs。
Video Portrait ということで、動きの少ない映像を使ったいわゆる液晶絵画的な動画かと予想していましたが、音声付きの静止画を縦長液晶モニタに上映するというものでした。